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やさしい日本語

やさしい日本語
『金田一少年の事件簿』の
「蝋人形城殺人事件」のなかで、
明智警視が容疑者の1人、
外国人のリチャードさんに
話しかけるシーンがあります。

「リチャードさん、
あまり1人で
徘徊しないほうがいい。
それと部屋に戻ったら
施錠を怠らないように
してください。」

リチャードさんは
「ワカッテマース!」と答えます。

これは日本に来たばかりで
日本語のことをよくわからない
外国人を装っている
リチャードさんに
明智警視が
「本当は昔から日本にいて
日本語をよく知ってるのでは?」
と考え、罠を仕掛けたシーンです。

明智警視は「徘徊」「施錠」など
難しい日本語を使うことで、
リチャードさんが
日本語を理解できるかどうかを
測りました。
謀ったといっていいかもしれない。

「ワカッテマース!」と答えた
リチャードさんは
まんまと明智警視の罠に
かかってしまったわけです。

「徘徊」「施錠」のような言葉は
確かに日本に
なじみのない外国人には
理解しにくいかと思います。

本来なら、
「リチャードさん、
あまり1人で
歩き回らないほうがいいですよ。
それと部屋に戻ったら
鍵をかけるのを
忘れないようにしてください」と
伝えるほうが親切です。

こうした外国人にも
わかりやすい日本語のことを
「やさしい日本語」として、
特にいま、医療の現場で
普及させる取り組みが
はじまっています。

「食事」→
「ごはんを食べること」
「初診」→
「この病院が初めての方」
「採血」→
「血をとります」など。

法務省によると、
去年6月末時点で
在留外国人は約283万人。
医療機関を受診する外国人も
増えています。
外国人患者には英語でと
考えがちですが、
在留外国人はアジアや中南米など
英語圏以外の出身者も多く、
英語よりも簡単な日本語のほうが
伝わりやすいケースも多いため、
「やさしい日本語」が
医療現場で注目されている、
というわけです。

いまはクラスターやら
ロックダウン、オーバーシュートと
カタカナの言葉を
耳にする機会が増え、
当初は「日本語でないとわからん」
という声もありましたが、
浸透するにつれ、
わかりにくさはなくなったような
気もします。

変化の速い時代、
言葉も激しく揺れ動きます。
いずれにせよ、
「わかりやすい表現」を
常に心がけることが大切です。
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