お願いフルーツ「その他」

夏は夜 あはれでをかしくてエモい

夏は夜 あはれでをかしくてエモい
いやはや、
夜が眠りにくい
暑い日々がやってきました。 
「春はあけぼの」で始まる
清少納言の『枕草子』には、
「夏は夜」と書かれています。 
 
夏は夜。
月のころはさらなり、やみもなほ、 
ほたるの多く飛びちがひたる。 
また、ただ一つ二つなど、
ほのかにうち光りて行くもをかし。 
雨など降るもをかし。 
 
夏は夜がいいよね。
月が明るい頃はもちろんなんだけど、 
闇の頃でも、
蛍が飛びちがっているのが
いいのよね。 
それに、ただ一匹二匹などと、 
ほのかに光って飛んでいくのも
趣があるし、
雨なんかが降るのもいいよね。 
 
この夏についての短い記述のなかに
2度も出てくる言葉が
「をかし」です。
「趣がある」
というような意味ですが、 
使われ方によって
微妙なニュアンスの違いも
あるそうで、 
現代における「やばい」
あるいは「エモい」という
言葉と似たようなものだ・・ 
という国語学者の方もおられます。 
 
とはいえ、
夏の夜を「をかし」と言えたのも、 
平安時代の夏が現代ほど
暑くなかったからかもしれません。 
これは4年ほど前に 
東京大学の大気海洋研究所の
研究チームが
分析したものなんですが、 
西暦700年頃から1700年頃の間で、
西日本の夏の平均気温が 
最も高かったのが
平安時代前期820年頃の「25.9度」、 
枕草子が書かれたとみられる
西暦1000年頃は、 
25度よりも低かったようですが、 
現代に目を向けてみますと、 
2019年夏は7月の
京都の平均気温は26.4度、
8月は29.3度です。 
どちらも同じ条件で
調査しているわけではないので、 
一概に「現代のほうが暑い」
とは言えないかもしれませんが、 
現代のように熱帯夜が続いていたら、 
清少納言も「夏は夜」なんて
言ってる場合では
なかったような気もします。 
 
実際、京都の夏は年々寝苦しくなっているようで、 
熱帯夜というのは最低気温が25度を下回らない夜のことをいいますが、 
7月22日の京都新聞のコラムによると 
この熱帯夜が2010年以降、 
年間30日以上あるのが
ほぼ常態化していて、 
しかも10年ごとに
3.6日ずつ増えているんだそうです。 
地球温暖化や
内陸都市のヒートアイランド現象の
影響が指摘されています。 

ただ、
幸い枕草子が「夏は夜」と
書いてくれていたおかげで、
これだけ暑くても、
それが「エモい」んだよなー。
なんて思えてくるからエモいよな。

そんなこと思えるはずがない。
逆の意味でエモいわ!
TOP