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大学の美しさよ

大学の美しさよ
先日の「読売新聞」の「人生案内」は
18歳の女子大学生からの相談でした。
 
「この春入学したキャンパスに
新型コロナウイルスの影響で、 
一度も足を踏み入れていません。
不安です」という相談でしたが、
似たような不安を抱えている
大学生の方、多いかと思います。 

相談では
自分はオンラインでは
全然友達もできないし、
面白くないんだけど、
別の大学に行った友人は
オンラインでも
友達を作ったりしていて、
うまくやっている、
というようなことが書いていまして、
これは向き不向きもあるし、
大学によっても、
教授によっても、
授業内容によっても、
受ける側面の性質によっても、
受け止め方は変わってくるから
難しいよな、と思いました。

我々大人はこういう場合に
「気にしていても仕方ないから
つまらないことを気にすんな」
というようなことを言いがちですが
これがいちばんよくない。
気になるものは気になるんです。

気になるのを
どうすればいいか悩んでいるんです。
気にするな、という答えは
無責任が過ぎます。
幸い読売新聞の人生案内は
そのような無責任さは
なかったですが、
相手に興味がなく、
早く話題を切り上げたい場合などに
割とこうした、
根本の部分を気にするな、
で終わらせてしまう大人は多いし、
信用できませんね。

話が逸れた。
 
大学生の不安・不満については、 
Twitterなんかでも、
いろんなところで確認できます。 

8月18日「産経新聞」には
先月中旬にアップされた
大学1年の女子学生を主人公にした
4コマ漫画について
記事が掲載されていました。

希望を胸に
東京都内の美術大学に入学するも、 
キャンパスには一度も行けず、
同級生の顔さえ知らず、 
部屋でパソコンに向かい
オンライン授業を受ける毎日・・ 
小学校も中学校も高校も
会社も本格再開しているのに、 
「どうして大学は
始まらないの?」と涙ぐむ・・
というものです。 
 
大人数が集まり、
講義ごとに集まったり
解散したりを繰り返す 
大学特有のリスクから、
対面授業の本格再開に 
二の足を踏む大学が多いようです。 

いっぽうで大学側の声を
みてみますと、 
「オンラインでよかった」
という意見もあります。 

ここからは8月24日の
「朝日新聞」の引用です。
朝日新聞と河合塾が
全国の国公立・私立の
大学に実施した緊急調査によると、 
「オンライン授業を
きっかけに授業の改善に
つながった」と回答した大学が 
全体の52%と半数を越えました。 
オンライン授業では
チャット機能を使えば、
いつでも文章を投稿でき、 
大人数の授業でも質問が多く出たり、 
普段おとなしい学生から
質問が出たり、
前向きな変化もあったそうです。 
 
とはいえ、
オンラインゆえの「限界」もあり、 
「実験・実習・実技系科目への対応」については、 
56%の大学が
「大きな課題」であると
回答しています。
また、「学生の通信環境・
情報通信技術のスキル」、 
「学生の学ぶ意欲・
メンタルケア」などを
課題に挙げるところもありました。

課題あり収穫あり。
どちらもコロナ禍のおかげで、
見えてきたものですから、
災転じて福とするには、
この見えてきたものを
決して見て見ぬフリをせず、
向き合っていくことでしょう。

外野から言われんでも、
現場はやっとるわ、あほか。
と私が大学の側の人間なら思います。
勝手なことばかり書いて
申し訳ないことです。
 
8月21日の「毎日新聞」は
1963年、当時の
アメリカ大統領のケネディが、
アメリカン大学で行った
演説の前置きで話したことを
取り上げていました。
 
「この地上に大学より
美しいところはありません。 
無知を憎む人が知る努力をし、
真実を知る人がそれを伝えようと 
力を尽くしている場所だからです」 
 
その美しい場所の美しさを
リモートでも伝えられる、
感じられる術というものを
いま関係者の皆さんが
試行錯誤しながら
探しておられる真っ最中ですよね。
その試行錯誤がすでに美しい。
 
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