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マイルス・デイヴィス クールの誕生

マイルス・デイヴィス クールの誕生
ジャズの帝王こと
マイルス・デイヴィスのことは
名前くらいは知っているし、
名前以外のことも
多少なりとも知っていますが、
正直、どちらかというと
「歴史上の人物」って感じ。

かすれまくって、
聞き取りにくい声も、
動く姿も、
観るのは初めてでした。

2時間たっぷりと、
関係者の証言によって、
マイルスが、どれだけ
coolだったかということが
語られていくのですが、
なんというか、
カリスマだとか、
天才だとか、
そういう陳腐でチープな物言いは
マイルスの限られた一面でしか
ないのではないかと思いました。

黒人であるがゆえに、
差別され続けた事実については
「昔はこんなに黒人に対する
差別があったんですね」という
簡単な感想を抱いて終わりに
することができない時代ですよね。
マイルスが戦い続けた
人種差別は残念ながら、
いまなお進行形であることを
はからずも実感させられました。

一度外国に旅してから、
アメリカに帰ってくると、
アメリカの黒人差別が
ひどすぎることが見えて、
アメリカのことが嫌いになる、
と言っていたのが印象に残りました。

マイルスが嫉妬深い男であり、
繊細ゆえに、
対人関係は
無関心を装っていたり、
そういうところは、
自分と似ているところもあるので
ああ、ひょっとすると、
私は周りから、
こんなに変わったやつに
見えているのかもしれない、、、
というようなことも感じました。

(かといって、
自分がマイルスと同じだから
マイルスみたいに天才なんだ、
というような結着に持っていくほど
若くはありません。
思春期にこれを見てたら、
自分をマイルスと同化させて
悦に入ったかもしれないですね)

嫉妬深いというところでは
マイルスの妻だったフランシスが
マイルスとクインシージョーンズと
フランシスの3人で飲んだあとで
マイルスと二人きりになってから
「クインシーはハンサムね」と
言い終わる前に殴り飛ばされたと
語っていて、
暴力はダメですが、
その感情には共感しかなかったです。

そのクインシーが、
マイルスのことを思い浮かべて
うっとりとした表情で
「大好きだった」と
言っていたのもよかった。

レジェンドも
1人の人間なんだよね。
観てよかったです。
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