お願いフルーツ「その他」

映画『スペシャルズ』

映画『スペシャルズ』
重たい映画でしたが、
それは演技の重みによるところが
大きいかもしれません。

海外の俳優さんの顔と名前が
まったく一致しないものですから、
出演されている方たちが、
どの程度有名で、
どの程度キャリアがあって・・
ということも全く知らないのですが、
バンサン・カッセルも
レダ・カティブも、
実力派俳優なんですね。

私はその2人のことも
よく知らなかったので、
余計に思ったのかもしれませんが、
真に迫りすぎた演技は見てる途中、
これはドキュメンタリー映画かと
思いました。

というのも、
物語自体が
実話を基にしたものだからです。
自閉症の子どもたちを
ケアする施設を経営しているのが、
バンサン・カッセル演じるブリュノ。
他のどの施設もお手上げな
重度の自閉症児にも
門戸を開けていますので、
次から次へと
入所者がやってきますが、
とにかく問題児が多く、
ブリュノは休日返上で
問題解決にあたっています。

そんなブリュノの経営する
「正義の声」では、
レダ・カティブ演じる
マリクに教育された
社会からつまはじきにされた
若者が働いています。
確かマリクの教育施設は
「寄港」という名前でした。

どう扱っていいかわからない
社会不適合者として、
世間から冷たい視線を向けられる
自閉症の子どもたちに
手を差し伸べる
「正義の声」ですが、
一つ問題がありまして、
「無認可」かつ
「赤字経営」なんですね。
そうなると、
政府が黙ってはいません。
監査が入ることとなり、
施設は閉鎖の危機に
陥るのですが・・・

主演の二人以外の
施設で働く人たちや
自閉症の若者の演技も素晴らしく、
そのあたりもドキュメンタリーか?
と思った理由なのですが、
調べてみたら、実際に
介護されている方や
本当の自閉症の若者やその家族も
キャスティングされている
みたいです。

重度の自閉症の若者のなかには
所かまわず頭突きを食らわす子や、
電車の非常ボタンを
押してしまう子がいまして、
私は少しばかり、
似たようなところが
あるものですから、
特に何かが一線を越えたときに
頭突きをしてしまう子のことは、
共感してしまう部分もありつつ、
なんやねんこいつ!
と腹が立つ部分もあり。
それでも介護者は、
受け入れ、そのうえで、
彼の成長を促していくものですから、
私はその姿に泣けてしまいましたし、
頭突きする彼に対しても、
どうにも抑えられない衝動に
振り回される様は、
正直、ほんまに申し訳ないですが、
正直なところ、
腹が立ってしまったんですけど、
そのいっぽうで、
むき出しにされた感情と、
彼の行動にも泣けました。

非常ボタン押しちゃう男の子も
一週間、試しに
洗濯機の製造会社で働くんですが、
これもやっぱり上手くいかなくて、
そらそうやろ!と思う反面、
あの子の「僕悪くないもん」
っていう感じを無視したり、
罵倒したりするだけの世の中で
果たしてよいのか?
という思いもあったり。

介護に携わる人たちの
過酷な労働環境にも
「重い、重たすぎる!」と
思いながら観ておりましたが、
目を背けることなく、
見ておかなければならないものを
観た気がしました。

かなり観させる映画です。
『スペシャルズ』
‪10月8日まで京都シネマで上映中。‬
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