お願いフルーツ「その他」

映画『ようこそ映画音響の世界へ』

映画『ようこそ映画音響の世界へ』
音に関わるお仕事をされている方に
是非観ていただきたい。

映画監督や音響デザイナーへの
インタビューなどを通して
映画の「音」が
どのようにして
作られているかに迫っています。

割と序盤に誰だかが、
「映画の半分は音でできてる」と
語っています。
実際それは事実で、
ひょっとすると半分「以上」が
そうなのではないかと思うのですが、
それにしても、
映画の音の語られた方が、
映画の半分を占めていることはない。

これは不当に低い扱いです。

とかなんとかいいながら、
私にしても映画の音を
そこまで気にして映画を観たことはない。
つくづく人って、
見えないものに敬意を払わない生き物です。

音響担当の方が、
それこそ血の滲むような努力で
音のサンプルを録音したり、
アイディアをひねりだしたり、
ミキシングに時間をかけたりしているのに
重役の方が、
「音なんてそんなに重要じゃない」からと
その音響担当の方を解雇するなんてことも
あったみたいですが、
これなんか、ラジオと言葉の関係に
残念ながらよく似ています。

言葉に気をつかいながら
放送に携わっていても、
偉い人がお作りになられた原稿は
絶対なのですから、
書き直しなんてするんじゃないよ、
と言われるわけです。

そこで私なんかも、
もう少し抵抗すればいいのかもしれませんが
解雇されるのはイヤなので、
そのままの原稿を使うわけです。
これでは伝わるものも伝わりませんよね。
現場の士気を削ぐのが仕事の方が
おられるものですから、
困ったものなんです。

ラジオといえば、
映画の世界で、
「音」による演出に
もっと力を入れようということになったのは
ラジオドラマがきっかけだったようです!!

音の持つ力が
とてつもないものなんだと、
改めて認識させてくれました。
それってつまり、
ラジオも捨てたもんじゃない、
ということでもある気がします。

あと、終盤に音響デザイナーが
仕事を頑張りすぎて
ノイローゼになったと
告白する場面があります。
そこで彼は
「いつも仕事以外のところに
片足を付けておかないといけない」
っていうんですよね。
あれも印象的でした。

私はどちらかというと、
かの重役のタイプですし、
バンドやってる後輩が各ディレクターに
新譜のサンプルを配るなか、
頑なに私にだけは絶対に、
サンプルをくれないというくらいに
音楽に関しては
センスを信用されていない人間であり、
自分もそんなに自分の感覚を
信じてはいないし、
そのうえ映画もこれまで、
ろくに観たことないものですから、
この映画で取り上げられている映画も
全く観たことなかったですが、
それでも十分面白かったです。

『ようこそ映画音響の世界へ』
京都シネマで10月8日まで上映中。

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