お願いフルーツ「その他」

うそとほんとの話

うそとほんとの話
コトワザには相反する内容が
セットになっているものが
いろいろあります。
「危ない橋を渡る」と
「石橋をたたいて渡る」
「一石二鳥」と
「二兎を追う者は一兎を得ず」
「ウソも方便」と
「ウソつきは泥棒の始まり」。

こうして並べてみると、
人は昔から矛盾を抱えながら
その都度、都合のいいほうを
選ぶ生き物なのだと思います。

だいたい二面性がない人は面白くない。
だから政治家にしても、
一点の曇りもない人というのは、
たぶん、あまり仕事はできないんだとは
思うんですよね。
程度がありますけれどもね。

さてさて、
方便だったり泥棒の始まりだったりする
「ウソ」についてなのですが、
ウソはどこまでがウソなのでしょうか・・
8月12日の「宮崎日日新聞」のコラムに
面白いことが書いてありました。
テレビの通販番組で
よく買い物をする方の言葉なんですが、
購入を決めるにあたってのコツは
「番組の中で何を言っているかではなく
何を言っていないかを見極めること」
なんだそうです。
言っていないことは
果たして「ウソ」なのでしょうか・・

衆議院解散について、
「頭の片隅にもない」という
表現がよく使われますが、
「片隅にないだけで真ん中にある」
というのは、
よくいわれることですね。

田村正和さん主演の名作ドラマ
『古畑任三郎』シリーズで、
ラジオDJ役の桃井かおりさんを相手に
古畑が「ウソ」について
語る名シーンがあります。

「ウソの下手な人間はすべてについて
ウソで塗り固めようとするが、
ウソのうまい人間は
肝心なところだけウソをついて
あとの部分はできるかぎり
真実を守ろうとする」

確かに私はウソが下手なので、
一から百まで
ウソをつこうとしてしまいます。

8月25日の「北海道新聞」の
コラムによると、
イギリスBBCの統計部長を務めた
アンソニー・ルーベンさんは自身の著書で、
数字やデータにだまされないための
心構えとして、
「これは真実だとしたら
理にかなっているだろうか」と
考えることを挙げています。
そのうえで、
「数字はうそをつかないが、
うそつきは数字を使う」といいます。

ウソといえば、
谷川俊太郎さんの『うそとほんと』という
詩も非常に味わい深いものがあります。

うそはほんとによく似てる
ほんとはうそによく似てる

ここからさらに続きがあるのですが、
いやはや、まさに。
表裏一体、どちらもほんとで
どちらもうそだったりするんですよね。
付かず離れず、
離れすぎず、依存しすぎず。
いい塩梅の距離感を大切にして、
ウソとホントの間で、
うまいこと泳ぎながら、
最後にホントの岸にたどり着けるように
しておけばいいんじゃないかな。

知らんけど。
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