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よき人はあやしき事を語らず

よき人はあやしき事を語らず
今年のノーベル賞は
いまのところ、
日本人の受賞者がいません。
どなたがどのような研究をされているのか、
まったく知らないくせに、
受賞するかどうかだけは気になるというのも
なんとなく失礼な気がしますね。

ノーベル賞に先駆けて、
先月中旬、ユニークな
科学研究などに贈られる
「イグ・ノーベル賞」の授賞式が
開かれまして、
こちらはワニにヘリウムガスを吸わせると、
うなり声が高くなることを発見した
京都大学霊長類研究所の西村剛准教授らが
音響賞を受賞しました。
日本人のイグ・ノーベル賞受賞は
14年連続なんだそうです。

しかしこちらも、
話題になるのは日本人が
受賞したかどうかが
最優先事項であり、
例えば同じワニに
ヘリウムガスを吸わせると、
うなり声が高くなることを発見したのが、
イタリア人だったとして、
果たしてどのくらい話題になるのか・・

今年はトランプ大統領はじめ、
9カ国の首脳も「医学教育賞」を
受賞していますが、
さほど話題にはなっていないようにも
思います。
受賞した首脳は全員、
新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、
事実かどうか
疑わしい発言をした人たちです。

例えば、
●ウイルスは奇跡のように
消滅すると言ったのはトランプ大統領
ほか、
●「コロナはちょっとした風邪」は
ブラジルのボルソラノ大統領
●「ウォッカが効く」は
ベラルーシのルカシェンコ大統領です。
受賞理由は「政治家が学者や医師よりも
生死に影響を及ぼすことを知らしめた」
からだそうです。
イグノーベル賞は時に、
冗談にならない受賞者もおられるのですね。

ずいぶん昔の話しになりますが、
中国の思想家「孔子」は
「怪しげなこと、力をたのむこと、
世を乱すようなこと、鬼神に関すること」を
語らなかったそうです。
論語にいう「怪力乱神を語らず」です。

立派な人物は理性で説明できないことを
口にすべきではないという戒めです。
それから千数百年後、
吉田兼好は『徒然草』に
「とにもかくにも虚言多き世なり」と
嘆きつつ、「よき人はあやしき事を語らず」と書いています。
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