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うそつきのパラドックス

うそつきのパラドックス
0月1日の「熊本日日新聞」のコラムに
ウソつきのパラドックスのことが書いてありました。
古代ギリシャの預言者「エピメニデス」によると、
「クレタ島に住む人は嘘つき」なんだそうです。
ところが、これを言った「エピメニデス」はクレタ島に住んでいます。

本当にクレタ島に住む人がウソつきならば、
エピメニデスの発言はウソになります。
ところが、発言がウソであるなら、
「クレタ島に住む人は嘘つき」ではなくなり、
発言に矛盾が生じることになります。
これが「ウソつきのパラドックス」です。

実際にはウソつきだからといって、
100%ウソをつくわけではないでしょうから、
はなっから、こういう理屈は、
成り立たないような気もします。
ちょうど、殺人事件の密室を作り上げるために
わざわざ舞台を電波の届かない山奥にしたりするのに似ています。
そういった工夫が昔から存在したという意味で
大変興味深いと感じたりもしますが、
そういうことを差し引いても、
この「ウソつきのパラドックス」というのは面白いですね。

9月28日の「東奥日報」のコラムにも
ウソに関するクイズが掲載されていました。
ある旅人が正直者ばかりが暮らす正直村と
ウソつきばかりが住むウソつき村・・2つの村に通じる別れ道にきました。
そこで村人1人に出会います。
この村人は正直村かウソつき村か、どちらかの住人です。
旅人は正直村に行きたいと思っているのですが、
さて、旅人は村人にどう質問すれば、無事正直村にたどり着けるでしょう。
なお、質問は1度キリです。

正解は・・
「あなたの住む村に行くにはどちらの道を行けばよいですか?」


ウソといえば、
フィギュアスケートの羽生結弦選手いわく、
「努力は嘘をつく」そうです。
文藝春秋10月号のなかで、五木寛之さんが紹介していました。
この「努力は嘘をつく」という言葉を引用しつつ、
五木さんは、
「仮に人一倍努力をしたとしても、必ずしも報われるとは限らない。
世の中は理不尽なことばかりです。
それを受け入れ、覚悟を決めるしかありません」と書いています。

新型コロナウイルスの感染拡大により、心がしおれてしまったとき、
大切なのは「究極のマイナス思考」であり、
期待をすると裏切られたときに残念だという気持ちが芽生えるから、
期待せずに歩き出せばよい・・という話から、
羽生選手の言葉を引用していました。

残酷なようですが、
大人はみんな知っている真実でもあります。
努力は嘘をつくと、身も蓋もないことを言ってしまわないと
納得できないほどに切羽詰まった世の中になってしまったのかと思うと、
逆にウソが方便として成り立つ社会って、
寛容で実はいいんじゃないかという気がします。

努力は嘘をつかないという嘘が、
平気でまかり通っていた時代に
ノスタルジーを感じてしまうほどに暴力的な真実がのさばっているのです。
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