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映画『ライフ・イズ・カラフル!』

映画『ライフ・イズ・カラフル!』
ピエール・カルダンが
実在する人だということさえ、
知らなかった私ですが、
ファッションに興味が無いのかといえば、
決してそんなことは無いのだと
気付かせてもらえた映画です。

向き不向きとか、
経済的理由とか、
いろんな事情で興味があっても、
あきらめていたり、
なかったことにしてしまっていたり、
捨ててしまっていたりするものが、
四十年生きていたら、
きっと山ほど存在すると思うのですが、
そのうちの一つが、
ファッションなんじゃないかと思いました。

ピエール・カルダンの手がけた
お洋服たちが、
映画のタイトルの如く、
とてもカラフルで、
昭和の時代の洋もののオシャレって、
この人が作ったものなのか!と
感激してしまいました。

こういうのって、
知らないからこそ
得られる感激ですよね。

私は松尾大社で挙式しまして、
式の前、新郎新婦の控室で
すごく心に響く旋律のピアノの音が
流れてきて、
その美しい旋律は、
新しい門出をお祝いしてくれているようで、
そうかと思えば、
生まれ育った故郷から離れることへの
悲しさまで表現されているような、
そんな風に感じたのですが、
よくよく聴いてみたら
ショパンの別れの曲だったんですよね。

それに気付いてしまったら、
「結婚式に別れかい!」となってしまい、
すべてが崩れてしまいました。

ショパンの別れの曲だと知らずにおれば、
あの曲はあの挙式に
最後まで相応しかったはずなのに、
知識が感激の邪魔をしたのです。

そのことを思い出しました。
ゴルチエがカルダンを評して、
「彼のおかげで私は不可能などない、
ということを知った」と言ったそうですが、
いっぽうで、
近頃は波風を立てないことを
好む風潮が強くて、
不可能が存在するようになってしまった、
と劇中、どなたかが言っていました。

表現する人にとっては、
受難の時代かもしれませんが、
カルダンは、
「私は常に目標に向かって走っていないと
気が済まない。」というようなことを
言っていました。
これからも走り続けるのでしょう。
その精神を見習っていかないと。

終盤でカルダンさん自身、
「私が実在すると知らない人が
たくさんいる」と言っていて、
あ、私だけじゃなかった!と安心しました。

10月29日まで京都シネマで上映中。
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