お願いフルーツ「その他」

美味しさは舌だけで判断するのか

美味しさは舌だけで判断するのか
10月15日は「キノコの日」。
10月はキノコ類の需要が高まる月で、
その10月の真ん中にあたる
15日であることから、
1995年に「日本特用林産振興会」が
制定しました。

キノコといえば、
明治の文豪「幸田露伴」は土瓶蒸しの底に、
ウナギの蒲焼を敷き、
その上にマツタケを入れ、
上からお酒で薄めたタレをかけて火にかけ、
ウナギの風味の染みた
マツタケだけを食べたそうです。
いま、同じ料理を再現したら
果たしていくらかかるでしょうか・・

秋の味覚の代表格であり、
高嶺の花でもある「マツタケ」。
国際自然保護連合が今年7月、
絶滅危惧種に指定しました、
今月6日、京都府内で収穫された
マツタケが、
京都市内の専門店に今シーズン、
初めて並びまして、
寺町三条上ルにあるお店では
右京区京北で採れた5本、
計140グラムが1万2000円でした。

これが高いのかお値打ち価格なのか、
そんなことも正直よくわからないのですが、
水上勉の食のエッセイ集
『土を喰う日々』によれば、
水上さんは裏山でマツタケを
採りまくっていたそうですから、
その頃に比べると、桁違いの価格でしょう。

そこで考えるのですが、
当時、幸田露伴にしろ水上勉にしろ、
マツタケをどの程度
ありがたがって食べていたのか・・
というところです。
たいして美味くもないけど、
いっぱいあるから食べておくか・・
くらいの感じだったのが、
高値になった途端に
重宝されることになったのか、
それとも当時から
とにかく美味でたまらなくて、
こんな美味いものが
こんな手軽にいくらでも食べられるなんて
俺たち幸せすぎやしないかい?
と思っていたのか。

真実はわかりませんが、
なんとなく、価格が味を
決めるということもあるんじゃないか
という気もします。

高いから美味しく感じる・・
ということを、
人は割と下品とか、
本当の味がわからない人だとか、
そんな風にバカにしがちですが、
実際のところ、
料理の美味しさというものを、
我々は必ずしも舌だけで
確認していないと思うのです。

そうであるからこそ、
盛り付けや器に美を求めるのでしょう。
味覚を舌にだけ求める感覚こそが、
実は鈍感なのかもしれないと思うのですが、
しかしきっと、これは、
効きビールで
3回連続エビスビールと
麒麟淡麗を間違えた
私の負け惜しみでありましょう。
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