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映画『フェアウェル』

映画『フェアウェル』
近頃はウイルスが気になって
帰省も簡単にはできません。
父の一周忌で帰ったのが3月。
いま思えばギリギリのタイミングでした。

GO TO,GO TO、
言うてますが、
故郷にも帰れない。
(森川由香里のSHOW ME風)

まだまだ母親は元気ですが、
果たしてあと何回会えるのか、とか、
考えるというほどでもないのですが、
ふんわり頭の中によぎるなかで、
割とずっしりときました。

ニューヨークで家族と暮らすビリーが
ガンで余命3ヶ月の中国で暮らす
おばあちゃんに会いにいきます。

中国ではガンを宣告された患者は
ガンで死ぬのではなく
恐怖に殺されるという、
ことわざ?があるらしく、
家族たちは、おばあちゃんに
ガンであることは言いません。

でも最後に家族で
おばあちゃんに会いにいくわけですが、
何も知らないおばあちゃんが、
急な帰省にびっくりしないように、
家族が集まる口実として、
いとこの結婚式をでっちあげるという、
なんともすごい話なんですが、
本当のことを
おばあちゃんに告げたいビリーと、
あくまでウソを突き通す家族の姿が、
さほどシリアスにならないように
むしろコミカルに描かれています。

ウソの結婚式なんですが、
親戚一堂大集合して大騒ぎ。
出てくる料理が
これまた美味そうなんですよね。
騒ぐだけ騒いで、
最後に家族がおばあちゃんを囲んで
写真を撮るんですが、
そこで「ハイチーズ!」の感じで、
「ハイ茄子!」って言ってました。

中国では「茄子」っていうんですね。
そういう中国の文化に触れられるところも
面白いポイントです。
中国とアメリカの文化の違いの描写も
どっちがよくてどっちが悪いという
描き方をしていなかったのが、
現代っぽいなと思いました。

最後におばあちゃんと
ビリーが二人一緒になります。
ビリーは幼い頃にアメリカに渡り、
家族はいますが、孤独を感じています。
学芸員になりたいのですが、
試験には落ちてしまい、
今後の身の振り方にも悩んでいます。

そんなビリーに、
「人生は何を成し遂げるかじゃなくて
どう生きるかなんだよ」って
アメリカに帰っちゃったら
もう会えないおばあちゃんが、
優しい言葉を投げかけたとき、
ふと滋賀の母親の顔が思い浮かんで、
えらく泣いてしまいました。

お母さんに会いたくなる映画です。
『フェアウェル』は10月29日まで
京都シネマで上映中。

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