京都フルーツ

映画『パピチャ 未来へのランウェイ』

映画『パピチャ 未来へのランウェイ』
舞台は1990年代のアルジェリア。
ファッションデザイナーを志す
大学生のネジュマは、
寮を抜け出しては
ナイトクラブのトイレで、
自作のドレスを販売しているのだが、
イスラム原理主義の台頭により、
首都アルジェではテロが頻発。

女はヒジャブを着けて、
肌は見せず、外には出ず、
家で大人しくしておけばいい。
という、女性差別の思想が蔓延り、
街中にはヒジャブ着用を
強制するポスターが貼られる。

自由で洗練されたデザインを嗜好する
ネジュマはヒジャブ着用に
従うはずもなく、
イスラム原理主義に跪くことなく、
我が道を突き進むのだが、
その生き方が周囲の犠牲を生むことになる。

カンヌ国際映画祭でも上映された問題作は
ムニア・メドゥール監督自身の
経験をもとにしている。
女性差別、女性弾圧に屈せず、
夢に向かい力強く生きるネジュマは、
本国で暮らす女性たちにも、
勇気を与えたはずだが、
本国当局により、上映中止の措置が
とられるまでになった。

ネジュマのような生き方は、
平穏を望む女性にとっても
煙たがられたりする。
恋人からも理解が得られず、
ネジュマは孤立していくが、
そんななかでも、
寮の友人たちがネジュマに
手を差し延べるのだが、
手を差し延べたことにより、
悲劇が広がってしまったりもする。

女性差別、女性弾圧なんか、
無くなってしかるべきなのに、
差別を無くすための闘いによって
血が流れるのを見るのは悲しい。

日本の話なら、
「あ、この人もうすぐ死ぬな」っていう、
いわゆる「フラグが立つ」のが
わかるのだが、
アルジェリアの映画だから、
(ただ私が映画を
見慣れていないだけかもしれないが)
唐突に銃声が鳴り響いて
死人が出たりするものだから、
すこぶる心臓に悪い。

しかし、
いくら頑張っても
どうにもならないような案件を
靡くことをひたすらに拒み続け、
目の前の理不尽に対して、
闘い続ける姿勢には、
見習うべきものがあると感じた。

面白い。
ただ、心臓に悪い。
TOP