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読書の記録『文學界』12月号

読書の記録『文學界』12月号
文學界12月号は
なんといっても鴻池留衣の
『わがままロマンサー』がすごかった。
つくづく小説というのは
なんでもありなのだと思ったし、
アホなことに真剣に取り組むことの
カッコよさを確認した。

町田康と伊藤比呂美の
古典の現代訳をテーマにした対談も
面白かった。
オンライン対談だったからなのか、
わからないけど、
ところどころ、お互いの言いたいことが
うまく相手に
伝わっていないような感じがあり、
次第に伊藤比呂美が熱を帯びてきて、
やばい、このままいったら、
どっちかがキレるんとちがうかな。
というハラハラ感がたまらなかった。

松尾スズキの戯曲は、
よくわからんかったけど、
舞台で観てみたいと思わせるもので、
大阪の日程も調べてみたが、
予算も都合も合わなかった。

毎月一冊まるごと、
端から端まで読んでみて思うのは、
やっぱり表現者は
言葉を大事にしないとあかんということ。

言葉が大切にされなくなったら、
きっとその表現は終わってしまう。
逆にあれだけ便利なインターネットが、
信頼されきらないのは、
言葉を大切にしていないからだろう。

言葉を大切に使い続ける限り、
文学も文芸雑誌も死なないはずだ。
いま、斜陽と呼ばれ、
死に瀕しているメディアは、
きっと言葉を大切にしていないのだ。
すべて棚にあげて、
時代のせいにしているから、
死んでいくのだ。
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