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月面で土壌などを採取した

月面で土壌などを採取した
今朝のニュースをラジオで聴いて驚いた。
何のニュースに驚いたかのか、
共同通信の記事をそのまま引用する。

月面で土壌などを採取した
中国の無人探査機「嫦娥5号」が
きょう未明、
内モンゴル自治区に帰還し、
月のサンプルの持ち帰りに成功しました。
これは中国の国営メディアが
伝えたものです。
月のサンプルの持ち帰りは、
アメリカと旧ソ連=現在のロシアに次ぐ
3カ国目で、44年ぶりの成功です。
嫦娥5号は先月24日、
中国南部の海南省の発射場から
打ち上げられ、
今月1日に月面着陸に成功した後、
ロボットアームなどを使って
土壌を採取しました。
3日に月面を離陸し、きょう未明、
内モンゴル自治区に帰還しました。
習近平指導部は「宇宙強国」の確立に向けた
技術と経験の蓄積を図っていて、
国威を発揚する狙いもあります。

上記のニュースを聴いて、
何に驚いたのかといえば、
中国の科学技術の発達に驚いたわけでも、
宇宙のロマンに思いを馳せたわけでもない。
お時間があれば、上記のニュースを
実際に声に出して読んでみてほしい。
忙しければ最初の1行だけでもいい。

「月面で土壌などを採取した」

これがラジオで聴いたら、
「月面で泥鰌を採取した」のだと
思ってしまったのだ。
土壌と泥鰌はアクセントも同じである。
もちろん、文脈で
泥鰌ではないということはわかるのだが、
自分の日常生活において、
土壌と泥鰌のどちらのドジョウが
身近であるかといえば、泥鰌のほうである。

いや、どちらが身近かなどと、
考えたことはなかったのだが、
今日、ラジオでこのニュースを聴いたとき、
「ドジョウ」が「泥鰌」として
耳に入ってきたということは、
土壌より泥鰌のほうが身近だったのだろう。
はからずも、
そんなことに気づいてしまった。

しかし、これも
ラジオの一つの面白さではないかと思う。
テレビでこのニュースを知っていたら、
きっと泥鰌に
思いが至ることはなかっただろう。

ラジオで聴いたからこそ、
月面に池があり、宇宙服を着た中国人が、
そこに器用に釣り糸を垂らし、
太公望よろしく気長に
糸が引くのを待っていたら、
ぐぐぐっと引っ張るものがあり、
力を込めて、えいやと引き揚げてみたら、
泥鰌が出てきてこんにちは!
なんていう場面を
一瞬にして想像してしまえるのだから。

いっぽうで、
ラジオ用にわかりやすい原稿には
できないものなのか?とも思う。
例えば、「土」といえば、
それでいいのではないか。
視覚に訴えかけるメディアと
聴覚に訴えかけるメディア、
どちらが隆盛かといえば、
答えは言うまでもない。
聴覚に訴えかけるラジオには、
それなりの、それ「用」の
原稿の書き方があるはずなのに、
おそらく、書く人間も普段、
視覚に訴えかけるメディアに
慣らされてしまっているから、
「耳だけで聴取する場合に、
どんな風に聞こえるか」
ということに思いが至らないのだろう。

しかし、それゆえに、
私は今日、月面の池に泳ぐ
泥鰌を思い浮かべることができた。
月には兎だけではなく、泥鰌もいる。
そんなファンタジーを
創りあげられるということを、
今後は「狙って」原稿を
書いてみるのも面白いかもしれない。

ただ、残念ながら、
それを面白いと思う人はなかなかいない。
みんな正しく情報を伝えたいから。
それならちゃんと
ラジオ用の原稿を書かないといけない。

うん。
やっぱり「ラジオ用」が必要なのだ。
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