京都フルーツ

喫茶ハヤシで喫茶談義

喫茶ハヤシで喫茶談義
私が行くときはいつも閉まってる
喫茶「ハヤシ」にようやく入れた。
夕方5時。

客は一人もおらず、
店内はやたら明るく、
BGMはオールディーズ、
ご夫婦対私の構図。

私は「自家製大粒大納言」という
八文字熟語に惹かれ、
小倉ホットケーキと
アイスコーヒーのセットを注文した。

とにかく、
このカラダに悪そうな組み合わせが、
私は大好きです。
美味しいものはそれなりに毒なのだ。

夫婦仲良く話しておられたのですが、
食べ終わる頃、ご主人が、
「撮った写真、どうしはんの?」と
鋭い目をして聞いてきた。

やばい。
そういうの、あかんタイプの店やったか。。
と思ったのだが、とりあえず、
「いや、あの、喫茶店めぐりしてまして、
記録用にですね。。。」などと
言っていると、

「喫茶店はもう、あかんで。」とご主人。

「昔はこの辺も、もっとお店あったけど、
いま、どんどん潰れてるわ。」と。
そこから、ありがたいことに、
喫茶店のコーヒーについて、
貴重なお話をいろいろと
聞くことができました。

いわく、
最近の若い子は、
まったりとしたコクのあるコーヒーを
飲まないから、わし(ご主人)はほんまは
まったりとしたコクのあるコーヒーが
好きやねんけど、時代に合わせて
浅煎りのんを作っとる。とのこと。

最近できたお隣の某珈琲店については、
「ゲイシャを使ってる言うて、
宣伝しとるけど、まぁ、
ブレンドの中にちょっと入っとるだけや。
それでも別にええんやけど、
それやったら、作る人の腕を上げないと。
せやから、なんのコクもない、
美味しくないコーヒーができあがるんや」と
手厳しい。

美味しいのはやはり、
「イ◯◯◯◯ヒ本店」。
本店のコーヒーは
まったりとコクのあるコーヒーやと。
ただ、若い子は好まないから、
入ってる客は だいたいが、
60越えとると言うてました。

堰を切ったかのように
喋り出すご主人のことを
私はとても愛おしく思えた。
もう、このご主人の言うてることが、
正しいか正しくないか?は
問題ではない。

ご主人がこれまでの人生で
培ってきた「イズム」を
初めて訪れた客に対して、
延々と話し続ける姿に
私はとても嬉しくなったのでした。

ものすごく易々と
心を開いてくれてる。
喫茶店のことを知りたいと
言った私に対して、
誠心誠意で対応してくれてる。
これこそが「接客」ではないか。

胸を打たれた私は、
また近いうちに来ようと
心に誓ったのでした。
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