お願いフルーツ「その他」

読書フルーツ 一億三千万人のための小説教室

読書フルーツ  一億三千万人のための小説教室
高橋源一郎さんが、
小説の書き方を
レクチャーしてくれる良書。
嵐山の「ロンドンブックス」にて
なんと!50円で手に入れました。

途中、
『エーミールと探偵たち』という
小説の話が出てきます。
この小説の主人公のケストナーは、
『原始林のペータージーリエ』という
小説を書こうと思っていますが、
いざ書こうとしたとき、
つい、クジラの足のことを
考えてしまいました。

クジラの足のことを
延々と考えるうち、ケストナーは
だんだん、
『原始林のペータージーリエ』は
どうでもよくなってしまうんです。

高橋源一郎さんは、
これを例に取り、
小説を書くならば、
『原始林のペータージーリエ』
ではなく、
『エーミールと探偵たち』を
書いてほしいといいます。

この感覚はとても共感できるもので、
面白いものを見つけるとき、
大切なことでもあります。

忙しさに追われていると、
『原始林のペータージーリエ』を
書くことに満足しがちですが、
本来、私たちが、
面白いと思っているものは、
『エーミールと探偵たち』にこそ、
詰まっているはずなんですよね。

それなのに、
毎日の暮らしで、
対外的に求められるものは
『原始林のペータージーリエ』
だったりもする、このもどかしさ。

たった「50円」で、
こんなに大事な共感を
手にすることができて、
私は幸せ者です。

近頃、欲しいものが、
欲しいタイミングで手に入ります。
無理することなく、
自分の感性に身を委ねるだけで、
欲しいものと結ばれていく。
その感覚が、いま、すごく楽しい。
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