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読書フルーツ 源氏物語と日本人

読書フルーツ   源氏物語と日本人
国語の教科書に出てくる
「難しい読み物」代表といえば、
河合隼雄。

心理療法家の河合隼雄が、
『源氏物語』について、
解説しています。

印象的だったのが、
光源氏が人生の岐路に立つとき、
「夢」によって行く先を
決めたことについての解説部分。

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現代の合理主義者は
こんな話を馬鹿げていると思ったり、
紫式部が勝手に都合よく夢を利用して
物語の展開を図った、と
思うかもしれない。
しかし、誰もがむずかしいと
思っている危機が乗り越えられるとき
本人の努力によるよりは、
このような偶然、
あるいは奇縁と思われるような
ことによる場合のほうが多いことを
よく知っているので、
紫式部の洞察には感嘆を覚える。

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この文章に出会えただけで、
「読んでよかった」と思えました。
「そやんな!隼雄!!」って
ぎゅっと握手したくなりました。

本自体は『源氏物語」は
光源氏の物語ではない。
これは紫式部という
女性の物語である・・

という出発点から、
世界最古の長編小説を
読み解いているわけですが、
碌に『源氏物語』を
知らないものですから、
書いてあることが難しいんです。

でも、この難しさを、
私は高校生かの頃、
同じ河合隼雄で経験しています。
そのうえで、
高校生の頃に河合隼雄を読み、
「難しい」と思ったことが、
いまの自分に少なからず、
プラスに作用していることも
知っています。

今日、読みきったこの本の難しさも、
いつになるか、わからないけど、
確実に「未来の自分」が何かを
「気づく」ために必要だったと、
振り返ることができると思う。

これから長い年月をかけて、
「熟成」させていくわけです。
即効性を求められる世の中で、
「急がば回れ」と
説教されているような気がしました。

ええ本に出会えた。
『源氏物語』も、
いずれ、ちゃんと読んでみたい。
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