お願いフルーツ「その他」

読書フルーツ 『あん』

読書フルーツ 『あん』
河瀨直美監督の映画『あん』の原作。
ご覧の通り、
『あん』が映画化されたあとに
出版された文庫本を読みました。

小説は 読者がそれぞれに、
頭の中で絵を描きながら
読むものだと思います。
克明に絵を描ける人ほど、
作品が映画化されたとき、
自分の描いていた絵と、
できあがった映画とのギャップに
萎え、ショックを受け、
「面白くなかった」という、
評価に落ち着くのでしょう。

ところが私は幸い?
映画から先に見て数年が経ち、
そのうえでこの文庫の表紙を見て、
やや「そうそう、樹木希林と
永瀬正敏がね」と思い出しつつも、
ディティールはあんまり覚えてない、

という理想的な状況で、
読んでみたところ、
たやすく「絵」を描きながら、
その「絵」は私を裏切ることなく、
(1回見てるんだからそりゃそうだ)
私のなかに自然に入り込んだので、
最後まで、
その「絵」に助けられながら、
すいすいすいと
読み進めることができました。

映画化が期待されるほどの作品は、
映画を見てから読むほうが、
下手に否定的精神を持たず、
フラットな視点で、
映画にも原作にも
触れていけるのかもしれません。

しかし、
こんな名作を100円で買えるとは。
古本市って最高ですね。

映画も原作も知らないという方は、
ぜひ見て(読んで)ほしい。
『あん』。

仰げば尊し、和菓子のあん。
個人的な感想をいえば、
映画を観たときよりも、
いま、原作を読んで泣きました。
TOP