お願いフルーツ「その他」

読書フルーツ 『不明解日本語辞典』

読書フルーツ 『不明解日本語辞典』
2019年 読書その2
『不明解日本語辞典』高橋秀実

「普通」「ちょっと」「ていうか」
「日本」「私」「存在」
何気なく、当たり前のように
使っている日本語の意味について、
考えていくエッセイ集。
ところで「意味」ってどういう意味?

巻末のあとがきが印象に残りました。

言葉には意味が「ある」のではなく、
言葉は意味を「なす」のではないか。
そこに「ある」のではなく、
これから「なす」。
意味は未来に向かっている。

同じ言葉でも誰が誰に対して
発するかで意味は
まったく違ってきます。
いつ、どこで、どういう文脈で、
さらには言い方でも違ってくるので
場面の数だけ意味を「なす」。

辞書に掲載されている「ある」意味は
過去になされた意味のひとつにすぎず
そらが実際に「なる」のは限らない。
言ってみなければわからないからこそ
私たちは会話するのではないか。

言葉の意味は不明確にして不明解。
不明解だからこそ話す。
「話す」は「放す」。
解き放すことです。

そして意味が「なす」なら、
漢語から文字や語法まで取り入れ、
次々と諸国語をカタカナで
自分のものにしていく日本語は、
なせばなる、どうにかなる。
という言語なのかもしれません。

外国語が苦手な人が多いのも、
日本語で「どうにかなる」と
感じているからではないか。
日本人、日本語は曖昧だと
よくいわれますが、曖昧というより、
「どうにかなる」と
楽観しているのではないか。


これまた、
大変面白い本でありました。
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