お願いフルーツ「その他」

読書フルーツ 『蜘蛛の糸 杜子春』

読書フルーツ 『蜘蛛の糸 杜子春』
2019年
読書その8 『蜘蛛の糸 杜子春』

選考があったからってわけじゃなく
たまたまやったんですけど、
後世に「芥川賞」なんてものが
できるほどのすごい人やってのは
これを読んだだけでも
よくわかりますわ。

タイトルにある
「蜘蛛の糸」「杜子春」のほかにも
傑作が収録されています。

読んだことのある話もあれば、
はじめての話もあり、
どの話も長くて15ページくらいで
終わるのは 子供にも読みやすい尺
ということなのでしょう。
大人も読みやすいです。

巻末の解説で「子供向け」と
書いてあるのを読むまで、
子供向けとは
全く思っていませんでした。

久しぶりに読んで面白かったのは
「杜子春」ですね。
有名な話なので、知ってる人も
多いと思うんですが、
大金持ちになった途端に、
酒池肉林ライフを送る主人公に
私は声を出して笑ってしまいました。
俺も絶対同じことするもんな。

主人公は3回目で、
同じ過ちを繰り返すのを
やめるんですけど、
俺ならまだまだ続けると思います。
目の前の欲望に弱い自分を、
杜子春を読んで
再確認してしまいました。

「トロッコ」とか「蜜柑」は、
心理描写がほんまに上手いな、と
思いましたし、
「猿蟹合戦」は思春期の頃、
ものすごい才能にでくわした!と
おそらく俺の同世代、
かなりの人間が感じたであろう、
ダウンタウンの漫才やコントに
通じるものを感じました。

いや、芥川龍之介のほうが、
もちろん、先なんですけどね。
なんというか、
天才の発想、着眼点の共通点を
見たような気がしました。

実用的な学問ばかりが、
必要とされる合理的社会では、
こういう読み物は、
カットされていく運命なのだと
思うと、とても寂しい。

せめて俺一人でも、
世の中の役に立たないものを
産み出していきたいと思う。
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