お願いフルーツ「その他」

読書フルーツ『人間失格/グッド・バイ/他一遍』

読書フルーツ『人間失格/グッド・バイ/他一遍』
2019年 読書その17
『人間失格/グッド・バイ/他一篇』

恥の多い生涯を送って来ました。
で始まる太宰治の名作
『人間失格』、
未完に終わり、最近現代版に
アレンジされてドラマ化された
『グッド・バイ』と、
評論が一篇収録されています。

「人間失格」は 主人公が
人間失格すぎて笑えますよね。
思春期に読むと、
自分に当てはまる箇所も多く、
「あ、頭おかしくても大丈夫なんや」
って思わせてくれるような
気がします。

否、それどころか、
「おかしい」ことが肯定され、
自分のこの「おかしさ」は、
ひょっとしたら特別な才能と
紙一重なのではないかと思わされ、
特に音楽だ美術だというところを
志す人間にとっては、
非常に背中を押してくれるような
作品であると思います。

いつまでもクズであり続ける
バンドマンが多いのは、
太宰治に責任の一端が
あるのではなかろうか。
かく言う私も齢40に
近づいているにも関わらず、
後押しされた一人です。

キスしてやるぞ。

グッド・バイは人間失格よりも、
幾分、ノー天気な感じで、
こちらは客観的に「アホやなぁ」と
笑っていられる感じですね。
ドラマも一度見てみたい。

そして何より、
最後の評論がすごかった。
とにかく、延々と
志賀直哉の悪口を書き連ねていて、
怨念めいたものを感じましたね。
「プロレス」ではなく、
完全に「シュート」。
志賀直哉のほうが、
かなり年配のようですが、
容赦なく悪態ついていて、
いっそ、すがすがしくもあります。

これだけボロッカスに書かれる
志賀直哉の作品も、
読みたくなりましたからね。

現代に生きていたら、
間違いなく、
Twitterで炎上するタイプでしょう。
太宰治さんを
かなり好きになりました。
TOP