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読書フルーツ『鉄人衣笠』

読書フルーツ『鉄人衣笠』
読書その23『鉄人衣笠』

昨年亡くなった「鉄人」こと、
衣笠祥雄さんの少年時代から
現役引退までを
切り絵で描いた絵本です。

『すっぽんぽんのすけ』は
妙な下心で借りたおかげで、
作品のもつ本来の味わいに
私がたどり着けなかったのですが、
この『鉄人衣笠』は、
予期せぬところで、
まさに運命的出会いを果たしたので
完全に「両思い」と
いったところでしょうか。

河原町五条を上り、
寺町に入っていくと、
すぐのところに「梁山泊」という、
私のような水滸伝ファンには
たまらない名前の古書店があり、
そこに無造作に置いてあったのを
見つけたとき、
大袈裟ではなく、私は体に
電流が走ったように感じました。

この本は 私に見つけてもらうために
ここにずっと置かれていたのだと
思うと、少しばかり
値が張ったとしても、
これは買うしかないと、
おそるおそる値段を見てみたら、
500円やったので、
ほっとして、いそいそと、
レジに持っていったのでした。

実は故あって、
ここ最近、頭の片隅に、
ずっと衣笠さんことが、
こびりついていたので、
やっぱり「そういうこと」
なんだなぁ、と納得もしたわけです。

(もったいぶった書き方をしましたが
要は涌井大宴会のネタに使うから、
衣笠祥雄という名前が、
ずっと残っていたのです。)

お亡くなりになられたとき、
一通り、「評伝」を
新聞で読んでいたので、
内容そのものに目新しさは
ありませんでしたが、
切り絵で描かれる衣笠さんは
愛嬌があって、表情も豊かで、
とても感情移入がしやすく、
最後、引退するときの描写や、
「江夏の21球」の際の
エピソードなんかは、
読んでて泣いてしまいましたね。

出会うべくして出会う本とは、
ガチで向き合えるものです。
人によって、タイミングによって、
作品の見方感じ方は違うものだ。
ただ押し付けるのではなく、
お互いの見方を尊重し合う、
そういう間柄の読書友達が
欲しいですね。

これもやっぱり、
読書に限らず、ですかね。
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