お願いフルーツ「その他」

読書フルーツ『三国志 演義から正史、そして史実へ』

読書フルーツ『三国志 演義から正史、そして史実へ』
読書その25
『三国志〜演義から正史、
そして史実へ』

おそらく日本人の多くが、
三国志デビューを飾ったのは、
「吉川英治三国志」もしくは
「横山光輝三国志」では
ないでしょうか。

横山光輝三国志は
吉川英治三国志がベース。
吉川英治三国志は、
「三国志演義」がベースですが、
「三国志演義」は、
「史実」ではありません。

エンターテイメントとしての「嘘」が
散りばめられています。

史実を知るならば、
「演義」ではなく「正史」を
読まなければならない、
というのは 昔から、
よく聞く話なんですが、
その「正史」も怪しい。
「正史」は「正しい歴史」ではなく、
あくまで、
史書を編纂した国家にとって
「正統な歴史」でしかありません。

なので、
「正史三国志」も、
正しい歴史と100%言えるものでは
ありません。
昨今流行りの「忖度」が
働いているわけです。

この本は「演義」から「正史」を経て
いろんな角度から、
様々な考察をもとに、
「史実」をあぶり出していく、
という、面白い本なのです。
すごく興味深い本です。

三国志好きなら、
まず、読んでおいたほうが、
よいでしょうね。

ただ、
やっぱり、
エンターテイメントとしての
「虚構」ってのは大切ですね。
2000年近い歴史の流れのなかで、
「演義」が洗練されていったのには、
やっぱり、
ちゃんとした理由が
あるのだと思います。

大衆を惹きつけるためには
まず面白くないといけません。
面白さのためならば、
多少の味付け、演出は、
やむを得ないというか、
絶対に必要なことでしょう。

要はその「線引き」をどうするか?
三国志は その「線引き」が
実に巧みで、
長い歴史のなかで、
どんどん洗練されていき、
いまなお、
スピンオフといっていいような
派生作品が次々登場しています。

大衆を欺くのではなく、
かつ、おおいに喜ばせる「虚構」を
作り上げるってところで、
クリエイティブなことに
携わってる現代人にとって、
三国志に学ぶことって、
けっこうたくさん、
あると思いますよ。

TOP