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読書フルーツ『三国志の風景』

読書フルーツ『三国志の風景』
2019年読書その27『三国志の風景』

写真家の小松健一さんが、
三国志の舞台となった場所へ行き、
現地の人々への取材レポートと
撮影した写真をまとめた旅行記。

あとがきに「1995年」と
書いてあるので、
もう24年ほど前に出版されています。
2019年のいまとは、
事情も随分異なるとは思いますが、
もちろん三国時代とは、
もっともっと異なります。

私は中国との出会いが
三国志だったので、
現代の中国事情を見る(読む)と、
けっこう驚くことがあります。

まず首都の北京が、
思ってたよりずっと北にある。
洛陽や長安のあたりにあるとは
思ってなかったのですが、
それでも黄河沿いにあると
思っていたものですから。
この位置だと、
袁紹どころか、
ひょっとすると、
公孫瓚のいたあたりではないか。

逆に上海なんかは、
魏の領地あたりと思っていたのに、
完全にここは「呉」ですし。

友人が現在、
中国4都市でライブツアーを
行っているのですが、
北京〜抗州〜武漢〜広州?
と言ってたのかな。
目が眩む移動距離です。

そんなことを考えながら、
三国時代に思いを馳せて、
読んでいたわけですが、
一番印象に残ったのは、
筆者が「南京虐殺記念館」を
訪れたくだりなのでした。

以下、引用。
後日、わたしは南京虐殺記念館を訪ねた。ここはどうしても見ておかなければと思っていたところである。それまで気さくに案内してくれていた地元の女性ガイドは、入口で待っているから一人で見てくれ、という。なかに入ると、日本人はわたし一人だった。一枚一枚の写真や資料に衝撃を受けながら、じっくりと見てまわっていると、周りからの鋭い視線が背後に感じられた。痛いほどだった。地元ガイドが一人で行けといった意味がわかるような気がした。わたしはひとつひとつのコーナーで合掌し、黙禱した。
南京にやってくる日本人ツアーの多くは、南京虐殺記念館を見学コースからはずしているという。だが、戦後50年、アジアの国々の民衆に対して過去に日本が犯したことを真正面からうけとめるためには、このような記念館こそ見るべきなのだと強く感じた。


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