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舞鶴探訪その6

舞鶴探訪その6
舞鶴探訪その6

スナックばかりの東舞鶴から
バスで西舞鶴へ。
西舞鶴は田辺城下町として
栄えたそうですが、
その面影はあまりありません。

ここは大阪なのか?
と勘違いしてしまいそうな
新世界商店街、
そこから続くマナイ商店街、
平野屋商店街。

活気はない。
しかし生気がないことはない。
穏やかな温もりを感じます。
生気がなくなると、
人と同じで、
どこか、冷たい感じがするのですが、
それはありませんでした。

気鋭のデザイナーが
商店街再生に乗り出して、
それまでの雰囲気を
台無しにしてしまう、
というパターンがありますが、
そういった毒牙にかからないまま、
とても 長閑な趣を称え続けています。

そんな商店街の雰囲気を
象徴するかのような喫茶店が
「モナミ」です。

「あなたの喫茶店」なんて言われたら
入るしかないでしょう。
「もう、そんかこと・・・
どうせ、私以外の人にも
同じこと言ってるんでしょ?」と
わかっていながら、
「あなたの喫茶店」と
ちゃんと指名されるのは
悪い気分ではありません。

入ってみると、
テーブル席が何席かあり、
奥にカウンター、
カウンターの向かいにも
テーブルが何席かあり、
常連と思しきお爺ちゃんが
コーヒーを飲んでいました。

ブラウン系で統一された店内、
南国系の観葉植物、
ヨーロッパ風の景色が描かれた油絵、
アイスコーヒーが「コールコーヒー」
と書かれたメニュー。
全てが昭和。
新規の客を呼び込もうという
気概はありません。

しかし、
入ってきたストレンジャーを
拒む冷たい空気もありません。
お姉さんが、
あたたかく対応してくださいました。

お姉さんというより、
人生のお姉さんって感じのお姉さん。

私は性根がいやらしい人間なので
「コールコーヒーください」
と言ってみましたが、
冬の間はやってないんです。
とのことでした。

仕方なしにホットをオーダー。
こういう古いお店は、
だいたい、濃くて苦いコーヒーを
出しがちなのですが、
(昔ながらのコーヒー好きは
こちらを好む)
このお店は 若者に親しまれやすい
酸味のある感じのコーヒーでした。

意外と 「いま」を
嗅ぎ分けているのでしょうか。
そこには少し驚きました。

喫茶店は「入ってよかった」と
思うことが多い。
それは おそらく、
「入ってよかったと思いたい」から
なんですよね。
人付き合いも
そんな風でありたいものです。
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