お願いフルーツ「その他」

読書フルーツ『バカになったか、日本人』

読書フルーツ『バカになったか、日本人』
2019年 読書その42
『バカになったか、日本人』

これまた訃報に触れてから
読んでみた作家さんです。
橋本治さん。
今年1月にお亡くなりになりました。

ギャル語っぽく
『枕草子』を訳したりした方です。
ほか、『桃尻娘』など著作多数。

はじめて読んだのですが、
この方の文章はウソがないです。
最近流行りの「忖度」とか、
「ご機嫌うかがい」とか、
そういったものが一切なく、
読んでいて清々しいです。

今年1月にお亡くなりになったと
書きましたが、
その8年前、2011年にも、
お体を悪くされていたようで、
そういった体調のなかで起きた
東日本大震災と、
どんな気持ちで向き合っていたか?
ウソ偽りなく、誇張せず、
飾らずに淡々と、それでいて、
研がれた日本刀のような
切れ味があります。

印象に残った部分を引用します。

どうやら経済産業省は「原発の再稼働は当然」という考え方をしているみたいですね。日本は「初めに結論ありき」の国だから、東大出の揺るがない官僚が「こうだ」と決めてしまった以上、いずれ「再稼働」ということを明白に言ってくるんでしょうが。福島の原発事故があって以来、日本の原発政策が「初めに結論ありき」で動いているということに、多くの人が気づいてしまったと私は思いますね。


なぜ印象に残ったかというと、
国レベルでなくとも、
1企業や1チームレベルでさえ、
「初めに結論ありき」というのは
世の中で罷り通っているということを
ここ数年感じ続けていて、
そのことについて、清々しいまでに
ウソ偽りのない文章を書く
橋本治さんが言及している、
ということが嬉しかったんですよね。

特定の力のある人間が、
自分のやりたい方向へ
導くためだけに開かれる会議とか、
本当に時間の無駄で、
あれほどつまらないものは
ないですからね。

それでも現状を変えることができない
卑怯者の私は
ただ、ひたすらに、
同じことを思ってる人がいる!
ということがわかっただけで、
しかも、その方が
とても気持ちいい文章を書く方だ
ということだけで、
私は救われたような気持ちなのです。

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