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読書フルーツ 『三島由紀夫レター教室』

読書フルーツ 『三島由紀夫レター教室』
2019年 読書その66
『三島由紀夫 レター教室』

登場人物5人は全員手紙好き。
5人の手紙でのやり取りのみで
物語が進んでいく異色作です。

三島由紀夫って
『金閣寺』とか『仮面の告白』とか
少し難解なイメージがありますが、
この本は とてもライトで読みやすく
エスプリが効いていて、面白いです。

いまの時代は 手紙ではなく、
メールやLINEが主流で、
それはそれで とても便利で
使い勝手のいいものなんですが、
では LINEのやり取りだけで、
一つの文学作品を成り立たせることが
できるか。といえば、
やはり難しいだろうなとは思います。

「手紙」は完成させるために
少なからず「教養」「知識」、
「技術」が必要だと思いますが、
そういったものを全て無くして、
分け隔てなく、
誰もが使えるようにしたのが
LINEなんでしょうね。

だからLINEには
基本的にルールがなくて、
使い手それぞれの価値観が
ルールになっているから、
例えば、
「え?そこでもう既読スルーなん?」
というようなことで、
大げさにいえば、
「頭を抱える」ことがあります。

これは おそらく、
「手紙の文化」で生きている
古いタイプの
人間特有の悩みでしょうね。
と言うほど私は手紙に
親しんでいるわけではないのですが。

手紙とLINEを比べてみると、
余計なものを排除して
便利さだけを求めていけば、
文化は衰退していくのではないか、
ということを考えてしまいます。

そんなことはさておき、
『三島由紀夫のレター教室』は
面白いから読んでみてほしいです。
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