お願いフルーツ「その他」

読書フルーツ『人間椅子』

読書フルーツ『人間椅子』
2019年読書145
『人間椅子』

江戸川乱歩の短編ばかり、
8作を揃えた短編集です。
私は表題の『人間椅子』しか
江戸川乱歩の作品については
知らなかったのですが、
まぁ、いかれてますね。

そのいかれかたが大好き。

『人間椅子』にしろ、
『お勢登場』にしろ、
『鏡地獄』にしろ、
何かに閉じ込められる
変態の気持ちって、
なんか共感してしまうんです。
特に『人間椅子』。

あれは男なら、
よくないことと思いつつ、
一度は妄想したことが
あるんじゃないですかね。

私なんかは、
実際に椅子のなかに入ったとして、
じゃあ、排泄行為はどうするのか、
ということを考えて、
挫折しましたけどね。

ファンタジーの世界って、
そういう現実的問題を、
無視することができるのが、
いちばん羨ましいところで、
逆にファンタジーに対して、
現実的問題を突きつけて、
「有り得ない」なんて言うことほど
野暮なものはないんです。

何かに閉じ込められる、
というところでは、
『お勢登場』の事の顛末に
私は震えてしまいました。

お勢が夫の閉じ込められている
長持の扉をいったん開けようとして
もう一度閉めてしまう場面は
私、夜中に読みながら、
自分でもビックリするくらいの
大きな声で、
「うそやん」と
言ってしまいました。

狂気しかないお話なのに、
やたらと共感できてしまうところに
自分のことがイヤになると同時に
江戸川乱歩のことが、
大好きになります。

心の奥底では、
似たようなことを
考えている人間が多いからこそ、
こんな作家が
いつまでも愛されるんだよ。

タガを外さないように
生きていかないといけません。
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