お願いフルーツ「その他」

真田早苗のノベル式ポエム

真田早苗のノベル式ポエム
タカシに捨てられた私は
それまでの私と違うみたいになった。
 
夜にしたためていた日記には
タカシのことばかりを書いていたから
書くことがなくなった。
タカシのために作っていた料理は
自分のためにしか
作らなくなったから、
緊張感のようなものが
なくなってしまった。
美味しかろうが まずかろうが、
食えればいいだけになった。
 
昨日は カップ麺を
食べようと思ったんだけど、
間違えて3分待ってから
お湯を注いでしまった。
間違えた3分の間、それでも
私はタカシのことを思い出していた。
そうしないと、
ただただ空っぽの3分間だった。
 
それからどのくらいの時間、
私はタカシのことを
考えていただろうか。
カップラーメンはブクブクに
ふやけ切ってしまったから、
食べずに捨てようと思ったけど、
そんな風に、
ちょっと時間が経っただけで
捨てられてしまうカップラーメンが
私みたいに思えて捨てられなかった。
 
でもね、でもね、でもね、
かわいそうだって思うんだけどね、
それでもね、そんなにふやけちゃったカップラーメンはね、
食べられないの・・。
 
そっか~。
食べられないのに置いておくより、
食べられないなら
捨てちゃったほうが、
そのほうが
ふやけたカップラーメンには
ちょうどいいのかもしれないね。
 
でも やっぱり捨てられなかったから、おもいきって食べてみたの。
思ってたより美味しかったの。
だから私、明日からも
前を向いて生きていくわ。
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