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読書の記録 北方謙三『水滸伝』1巻

読書の記録 北方謙三『水滸伝』1巻
北方謙三の『水滸伝』を
はじめて読んだときの驚き、
あの驚きこそ、
衝撃というのでしょう。

あれに「衝撃」という
表現を使ってしまうと、
そこそこのことでは、
「衝撃」が
使えなくなってしまうんですが、
仕方あるまい。

「三国志」「西遊記」
「金瓶梅」と並び、
中国四大奇書と
呼ばれていたんじゃなかったかな。
その割に「水滸伝」って、
物語としてだいぶ、
いい加減なんですわね。
面白くないことはないのですが、
いまひとつ、
登場人物の誰に
感情移入していいのか、
わからないし、
知らないうちに
全く出てこなくなる人物がいるし、
荒唐無稽すぎる
妖術とか出てくるし。

「そういうもの」として読めば、
それはそれで面白いんですが、
納得できないところが
多々あるんです。

しかし、いま書いた
中国の『水滸伝』への不満は、
全て後付けの理由です。
全て北方謙三の『水滸伝』を
読んでから沸き出た感想なのです。

逆にいえば、
上記の不満を見事に解決して、
最高に面白い人間物語に
昇華させているのが、
北方謙三『水滸伝』なのです!!

1巻の主人公は豹子頭林冲。
禁軍の師範として、
高求(本当は人偏に求)の軍に
厳しい調練を課していましたが、
恨まれてしまい、
簡単にいうと「ハメられ」て、
流刑に処せられるわけですが、
これが原典の『水滸伝』を
踏襲していながら、
とてつもなく劇的に、
そして堪らなく悲壮な物語に
アレンジされているのです。

北方謙三の力技。
それでいて、
細かい細かい描写への心遣い。

女一人救えずして何の志か。

愛する女を救うことができず、
苦しみ悶える林冲が、
苦難というには余りに酷い、
残酷な運命を切り開いていく様に
涙するのは間違いないです。

是非読んでみてほしい。
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