お願いフルーツ「その他」

読書の記録『郵便配達は二度ベルを鳴らす』

読書の記録『郵便配達は二度ベルを鳴らす』
感覚が停止してしまわないために
なるべく自分の中に無いものを
無理のない範囲で
取り入れようと心掛けています。

芯があることは
とても大事なことですが、
他人の意見を
聞けないようになることは
大変危険なことでもあります。

感覚を「しならせる」
とでもいうのでしょうか。 
私は今年、
四十になったばかりなのですが、
年配の先輩方のなかには
どうもその「しなり」の無い方が
非常に多い。

自分はアイデアのある人間で、
話題も豊富な
ユーモアに溢れる人間だ、
という自負のある人ほど、
しなりがありません。
その自信が「我」を
カチコチに固まらせてしまう。

固いのは
おちんちんだけでいいのです。

みんな、
90度に屹立していて、
とても立派なものをお持ちですが
それよりも、
分度器で例えるなら、
(どうして分度器で例えるのかは
自分でもわかりませんが)
0度にも180度にも
しなれる感覚を
持っていることこそが、
本来、大切なはずなのです。

その「しなり」があればこそ、
真ん中で支える
根っこの部分が強くなるわけです。

感覚をしならせるには
どうすればよいか、というと、
嫌なこともやる、
ということです。
別に嫌な先輩の言うことも
聞かないといけない、とか、
鬱陶しい上司の飲みに
付き合わなきゃいけないとか、
そういうことではなく、
そんなものは
本当の無駄でしかないのですが、
興味のないところを
覗いてみるということですね。

これが大事だと思うのです。

だからこそ、
私たちメディアの人間は、
いろんなところに
取材と称して無料で
出かけることができるのです。
本来、自分の好きなものばかり
選択して取材するのではなく、
なんにも知らない世界のことを
覗いてみることこそ、
大切なはずなんですよね。
なかなか私も、
それはできていないのですが。

そこで、
私が感覚をしならせるために
やっているのが、
図書館で棚ごとに一冊本を借りる
ということです。

左端の棚から順番に
必ず一つの棚から一冊借りて読む。
興味のないジャンルの本ばかり
並んでいる棚では、
本気で何を借りるか悩みますが、
悩み抜いて選んだ本は、
不思議と面白かったりして、
世界が広がることが実感できます。

最近は棚が、
「海外文学」一色になり、
そちらについては
全く疎かっただけに、
えらく長考したうえで、
一冊借りるわけなのですが、
これは面白かったね。

郵便配達は二度ベルを鳴らす。

棚ごとに一冊ずつ借りる、
ということをしなければ、
私は絶対にこの本に
出会うことはなかったはずです。

そういう、
偶然を作為的に作り出すことで
広がる世界があるのです。
そういうことを繰り返すことで
感覚って、
しなっていくのだと思うんです。

っていう感覚も、
固まり過ぎると、
私がこれまで書いてきたことに
矛盾が生じてしまうので、
とにかく、
適当に生きていけば、
人は感覚を
しならせられるんだろうね。

また読書の感想を
「面白かった」しか、
書かなかったよ。
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