お願いフルーツ「その他」

そのメガネを拭くところから始めたい

そのメガネを拭くところから始めたい
涌井慎です。
趣味は新聞各紙のコラムを
読むことです。

コラムを読むのは
少し久しぶり。
毎日コラムを読めるくらいには
余裕のある暮らしがしたい。

2月24日。
秋田魁新報を引用します。
「子どもの頃、一度読んだものの理解できず、「つまらない」との烙印をあっさり押してしまった本はないだろうか。作家の角田光代さんにとって、サンテグジュペリの童話「星の王子さま」が、そんな一冊だった。」

私も全く同じだったので、
もともと好きな
角田光代さんのことが
ますます好きになりました。

角田光代さんは
私の好きな
サザンオールスターズのことも
大好きだそうで、
そんなところも、
もともと好きな理由なのです。
好きなものを好きな人って、
それだけで距離が縮まります。

「星の王子様」は最近読んで、
こんなに面白かったのか!
ということを再確認したので、
タイムリーに角田光代さんの
エピソードを読み、
嬉しくなりました。

こういうのを
「共感」と呼ぶのだとしたら、
その対極の、
さらに遙か彼方にあるのが、
あの父親です。

書くのも憚られるほどですが、
「山陽新聞」から。
このコラムを書く人たちも、
本当はこんなことを
書くのはイヤなんだと思う。

「千葉県の小学4年生、栗原心愛さんを、父親は「みーちゃん」と呼んでいたという。愛らしい呼び名と、父親が加えた虐待行為との落差に胸が苦しくなる。」

これ以上書きたくないです。
ただ、「山陽新聞」は
この事件に絡めて
アメリカの心理療法の一つを
紹介していました。

以下、再び引用。
「1日に5分間、親子で一緒におもちゃなどで遊ぶ時間を設ける。その間、親は「命令、質問、批判」の三つをしない。代わりに「ほめる、繰り返す、まねる、説明する、楽しく」の五つを意識して増やす。おもちゃで遊ぶ時期を過ぎたという場合は、親子の会話で意識するのも有効らしい。」

会社の会議なんかにも、
通じるものがありますよね。
いちばん強い立場の人間が、
「アイデアを欲しい」という場合、
たいていは
「面白いアイデア」が
欲しいのではなく、
「俺のメガネにかなうアイデア」が
欲しいだけなんです。

だから、
「俺のメガネ」にかなわなければ
「命令、質問、批判」を
繰り返して、
無いものにしてしまいます。

これを繰り返されると、
どうなるか、と言うと、
誰もアイデアを出す人が
いなくなり、
結果、そのいちばん強い人の
意見が反映されます。

そのいちばん強い人が
面白いアイデアを持っていれば
それでもよいのですが、
そうでない場合、
そのグループは倒れていきます。

倒れるまで、
いちばん強い人は
「アイデアを出すのは俺だけだ」
ということを誇りにしています。
他人にアイデアを
出せないようにしている
自分に気付くことはありません。

あの父親のように
人の命を奪うことはなくとも、
一緒に仕事をする人間の
エネルギーをこれでもか、と
奪い続けて消耗させてしまいます。

(それでも命令、質問、
批判を繰り返し、結果、
命を奪ってしまう会社も
存在するみたいです。
残念ながら。)

ただ、
全ては私が、
四十歳にもなって、
ほめて、繰り返して、まねて、
説明して、楽しくしてほしい、
だけだったりするのかもしれない。

とりあえず、
おまえのメガネを拭きやがれ!
と言えない私は弱い人。
TOP