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「あした」か「あす」か問題

「あした」か「あす」か問題
ラジオのお仕事をするなかで
引っかかりを覚えた表現について
書き記しています。

これは2月24日のニュースです。

「国立大学と公立大学の2次試験があすから、全国各地の大学で始まります。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、各校は受験生に対してマスクの着用や、体調が悪い時は申し出るよう呼び掛けています。」

まず、
この原稿がラジオのことを
しっかりと、
考えてくださっているのだな、
と嬉しく思うのが、
「あすから」が
平仮名であるところです。

「明日から」と書いてあると、
「あす」なのか「あした」なのか、
どちらで読めばよいのか、
わかりません。
この原稿に関していうなら、
別にどちらで読んでも
構わないとは思うのですが、
例えば桑田佳祐の
「明日へのマーチ」の「明日」は
「あす」と読みます。
「あした」と読んだら間違いです。

この曲のタチが悪いのは
(曲のことも桑田佳祐さんのことも
私は大好きなんですよ念のため)
歌詞では「明日」を「あした」と
読んでいるんですよね。

こういう紛らわしいうえに
間違ってはいけないものの場合こそ、
「あすへのマーチ」と
書いていてほしいんですよね。
ラジオは目で見るものではなく、
耳で聴くものなので、
原稿で漢字やカナの使い方が
正しくなくてはいけない理由は
ありません。
読むときに読みやすいか否か、
それだけを注意すれはいいのです。

ただ、
「明日へのマーチ」について言えば
「あすへのマーチ」でも
平仮名が続いて読みにくいので、
「明日へのマーチ」の「明日」に
「あす」とルビを打つのが
いちばん読みやすいかと思います。

続いてこの文章に抱いた
違和感について書いていきます。
違和感があったのは、

「マスクの着用や、
体調が悪い時は申し出るよう
呼び掛けています。」の部分。

なぜ違和感があるかというと、
「マスクの着用」と
「体調が悪い時は申し出るよう」が
「呼び掛けています」に
かかるわけなんですが、
そのかかり方が前者と後者で
異なるからではないかと思います。

前者は
マスクの着用「を」呼び掛けますが、
後者は
申し出るよう「に」呼び掛けます。
この「を」と「に」の差が、
違和感を放つのではないでしょうか。

違和感を取り除くためには、
「マスクの着用や
体調が悪い時は申し出ること」を
呼び掛けています。
とすれば、
着用も申し出ることも「を」で
呼び掛けていますに繋がるので
違和感が減ります。

さらに違和感を無くすならば、
「マスクを着用することや、
体調が悪い時は申し出ることを
呼び掛けています」と、
どちらも「すること」に
統一すればよいかと思いますが、
若干、硬さを感じる文章に
なってしまった気もします。

しかし、
誰にも平等に正しい言葉で
情報を発信するためには
ある程度、硬くなるのは
仕方ないのではないかとも思います。

日本国憲法はじめ、
各種法律の文章が、
これでもかというくらいに硬いのも
誤解のないようにするためでしょう。
行政の文章がやたらと硬いのも
同じ理由ではないかと思います。
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