京都フルーツ

1人目の客になれた話

1人目の客になれた話
涌井慎です。
趣味はオープンしたお店の
1人目の客になることです。

昨日は初めて
1人目の客Tシャツを着て
1人目の客となるべく、
京都高島屋の竹久夢二展へ
繰り出したものの、
1人目になれず。

しかし、
所詮あれは施設自体の
オープンではありませんでした。

負け惜しみではなく、
やはり私は
1人目の客Tシャツを着て、
新店舗の1人目の客になりたい。

17時に居酒屋がオープンする、
という情報は仕入れていたので、
竹久夢二展がダメだとしても、
こっちはしっかりと
おさえておかねば!と
思っておりました。

昼間に失敗しているので、
同じ過ちを続けて・・
というのは避けたい。
故に私は少し早めに
出発することにしました。

これまでの経験上、
40分前に着いておけば、
大概のお店は
1人目の客になれますが、
今回は念のため、
17時の40分前より、
さらに5分早い16時15分には
お店の前に辿り着きました。

雨が降っています。
屋根のある四条通りから
高倉通りを少し
南下したところにお店はあるので
傘を忘れた私は
到着した頃、
それなりに濡れていました。

1人目の客Tシャツを
際立たせるため、
ダウンは脱いでいますから、
寒いのですが、
そこは我慢するしかない。

準備中の店内が見えます。
つまり、向こうからも
私が見えています。
見えているはずなのですが、
無いものとして扱われます。

これはだいたい、
どのお店もそうです。
知り合いがきたら、
笑顔で話しにきますが、
知らない人が待っていると、
どうやら警戒するようです。

それについては
仕方ないと思っています。
待っているあいだは
私はまだ客ではないのですから。

開店が近づくにつれ、
そわそわした空気、
やったるで!という活気が、
外に漏れ伝わってきます。
この雰囲気が好きなのです。

16時45分。
学生らしき男がやってきました。
関係者か、それとも。
訝しげに私を見て、
「入っていいんですか」と
聞いてくるものですから、
「並んでるんです」と答えました。

並んでるといっても
私しかいないのですが。

結局、男は私を抜かして
中に入っていきました。
店員さんと話ししてます。
内容は聞こえません。

まさか、まさか、まさか、
そのまま入っちゃったりしないよね?

出てきた。
よかったー。。
と思ったのも束の間。
傘立てに傘を入れて、
また入っていきました。

うそやん!!

男は奥の部屋へと消えていきました。

16時50分。
男は奥の部屋から出てくると、
他の店員と同じ服になっていました。

アルバイトか!
アルバイトやな!!
あとで注文するからな!!!

17時。
チーフらしき男性が扉を開けながら
満面の笑みで、
「寒いなか、ずいぶんと
お待たせしました!どうぞ!」
と言いながら、
店内へと導いてくれました。

おそらく店内から見えていて、
どういうリアクションをすべきか、
悩んでいたんだと思います。

やや乾いた笑いをこめながら、
「1人目の客、はははっ」と
少しだけ反応してくれた、
このチーフらしき男性の優しさに
グッときたね。

四条高倉下ルに昨日オープンした
「酒場みなみ」の1人目の客は私です。

帰りに別の金髪の店員さんに
お店の前で
写真を撮ってもらいました。
この写真を見て、
私はさらに
この店が好きになりました。
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