京都フルーツ

1人目の客になれた話

1人目の客になれた話
涌井慎です。
趣味はオープンしたお店の
1人目の客になることです。

自分で言うのもなんですが、
こんなにピースフルな趣味は
古今東西探しても
なかなか無いと思うんですけど、
こんなに理解されない趣味も
なかなか無いみたいです。

それにしても、
なんとも趣味に興じにくい
世の中になってしまいました。
極力私も自粛はしておりますが、
それでもめでたく、
友人が店長としてオープンする
新店とあらば行かねばなるまい。

絶対に来ないでくださいね。
とLINEをもらっていましたが、
私は「来てください」だと
受け取りましたよ。

1人目の客Tシャツを着て
四条烏丸から、
河原町方面に向かいますと、
職場の先輩にお会いしました。

笑っておられます。

人1人笑顔にできるTシャツを
作ってほんとによかったよ。

すれ違う人々の視線が
私の胸元に注がれている。
視線って、かくも
わかりやすいものなのですね。

しかし京都は狭い。
職場の先輩に続いて、
保育園のママさんにもお会いした。
もう少し詳しく書くと、
同じ保育園に子供を預けている
妻以外の女性です。
預けている子供から見たら
ママに当たります。
これは、
正直恥ずかしかったです。

父親の顔しか知らない人に
趣味のために突き進む
別の顔を見られてしまった。

そして、
それを恥ずかしいと
思ってしまった自分もまた
恥ずかしいのです。
しかし、少しばかり
後ろめたさを感じてこそ、
趣味というのは面白いのです。

百貨店は近頃、
午前10時にオープンしません。
10時30分オープンです。
1階入口で
百貨店のオープンを待つ。
ここは私が一番乗りですが、
前回、高島屋の竹久夢二展では
肝心の新店に辿り着くまでに
後ろに並ぶ紳士淑女たちに
追い抜かれてしまいました。
今回は
そうならないようにしたい。

10時22分。

いまのところ、
私しか並んでいません。
どうやら今日は
大丈夫なんじゃないのかしら。
と思ったら、
どうやら周辺あちこちに
開店待ちしている人がいるらしい。

京都の人は
並ぶということに
恥じらいを
覚えるのかもしれません。

10時30分。
扉が開きました。
あまり館内のスタッフに
訝しがられないような程度で
早歩きしつつ、5階へ向かいます。

入口には
男性スタッフが待機しています。
私の存在を確認したスタッフは
店内に「来た!来た!」
「1人目の客のプロが来た!」と
呼び掛けてくださり、
私が入店すると、
皆様、満面の笑顔と
(自分で言うのもなんですが)
すごい盛り上がりで
迎えてくださいました。

1人目の客のプロと
呼ばれたのが嬉しかったから
4月7日は
1人目の客のプロ記念日。
字余りしまくり。

4月7日。
藤井大丸5階にオープンした
喫茶マドラグ藤井大丸店の
1人目の客は私です。
私です。
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