明日を生きるヒントに。岩橋3選

飲み会で話が長くてつまらない人の隣になった時に脳内BGMで鳴らしたい1950年代のジャズ名演3選

飲み会で話が長くてつまらない人の隣になった時に脳内BGMで鳴らしたい1950年代のジャズ名演3選
こんにちは。夜は涼しくなってきましたが、皆様お体変わりありませんでしょうか。季節の変わり目は体調を崩しやすいので、ご自愛ください。

話の長い人との飲み会



秋は職場での異動や配置換えが多い季節。
懇親会、親睦会、歓送迎会、結婚式の二次会、といった風に、皆様も居酒屋やその他飲食店でお酒を飲む機会も増えてくる時期ではないでしょうか。

仕事の話に熱が入ったり、昔話に花が咲いたり、時には恋愛相談が盛り上がったり。楽しいですね、飲み会。
しかし、特に年配の方に見られますが、時々妙に話が長かったり、説教しがちだったり、といった感じで場の空気にそぐわない話を延々とされる方と一緒になることもあります。

そこで、そんな長い話の合間に、脳内でBGMとして流してみると、一見つまらない話の趣がちょっと変わって乗り切れるかもしれない1950年代、ビバップ・ハードバップ全盛期のジャズ名演3選を選んでみました。ご査収ください。

1950年代ってどんな時代?



1950年代。

冷戦の対立構造が固定化し、世界は西側と東側に分かれた世界基軸が定着していきます。
そんな中、アメリカをはじめとする西側は急速に経済が発展し、乗り物は汽船から飛行機へ。メディアはラジオからテレビへと移行していきます。

アメリカの家庭では多くが冷蔵庫を持ち、若者を中心としたユースカルチャーも発展していきます。

ロックミュージックもこの頃から若者を中心に盛り上がりを見せていきます。

そんな中、当時の大衆向けの主流音楽だったジャズもこの頃から変化がみられるようになります。
これまでメジャーだったスウィングジャズに段々と飽きて来たジャズの演奏家によって「ビバップ」と呼ばれるスタイルが興ってきます。

これは、ライブハウスの閉店後に酒を飲みながら即興で演奏し始めたのが始まりとされていて、最初にテーマを演奏後、コード進行に沿った形でアドリブのソロを回して行くというスタイルです。

即興演奏は徐々に理論的に複雑化し、実験的な側面を帯びるようになっていきました。段々聴く方もわけわからなくなってきたところに登場したのが、より洗練された「ハード・バップ」です。テーマ→ソロ、の構成はビバップと同じですが、楽器同士のアンサンブルをふやしたり、音数を減らしたりして楽曲としてのクオリティを上げて、聴く方も楽しい、という大衆性を帯びるような形に発展していきました。

1950年以降はハード・バップがジャズの王道のような流れがしばらく続いていきます。

恐らく諸説あり、この説明だとハードジャズファンの方に怒られそうですが、多分大体こんな感じです。


1.武勇伝系話の長い人に捕まった場合



この手のタイプの人は男性に多いと思われます。「昔、こんな大きな仕事をした」「俺は●●(有名人)と友達や」など、自分が如何に凄いか、という事を声高に主張します。
また、この手のタイプは同じ話を繰り返す傾向にあり「これ、この前も聞いたな」と思わされる事も多いですね。

そんなタイプの話を聴く場合はこちらの曲かおススメ。

① The Quintet / Wee




アルバム「Jazz at Massey Hall」(1953年)に収録。

チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー、チャーリー・ミンガス、バド・パウエル、という当代随一のプレイヤーが集まって、カナダのマッセイホールで演奏されました。

ジャズのミュージシャンというと、なんとなくクールで知的な印象を持たれるかもしれませんが、そんな事はありません。

物の資料によりますと、この演奏の当日、チャーリー・パーカーは酔っ払って登場。質屋にサックスを売ってしまって楽器が無かったのでプラスチックのレンタルのサックスを使用しており、バド・パウエルは精神病院から退院したばかりで付き添いの看護婦さんと登場。

この日はボクシングの大きな試合があった為、客入りは会場全体の3分の1程だったそうですが、ディジー・ガレスピーはそのボクシングの試合が気になって、中継放送に夢中で、上の空で演奏していたそうです。そして出演予定だったトロンボーンのJ.J.ジョンソンは消息不明で会場入りせず。

いくらなんでも酷すぎませんか?自分のバンドだったらとても本番を迎える自信がありません。
で、ありながら実にスリリングな演奏。素晴らしい名演として後世に語られています。

いかがでしょう。この曲をバックにおじさんの武勇伝を聞いてみると、全然面白くなかった過去の栄光の話が徐々に起伏を帯びて来て、続きが気になってきませんか?

「そ、それで!?それでどうなったんですか!?」とか自然にあいのてを入れるとおじさんも増々ノってくる事でしょう。

その人が職場の偉い人だった場合「こいつはなかなか骨のある奴なんや」となる事間違いなしです。


2.説教系話の長い人に捕まった場合



次いで多い印象なのがこちら。男性もそうですが、たまに女性の方でもこういう方がおります。
職場の上司だったりした場合は主に日頃の業務に関するダメ出しなどが多いと思いますが、その他、趣味や恋愛、出身地などあらゆる分野に派生します。要するに何でも良いんだと思います。

私はこの手のタイプに捕まりやすい体質で、よく説教されます。

一度「岩橋のくせにポケットWi-fiなんか持ちやがって。生意気な」と、説教された事があります。ええやんけ別に!持つわ!

John Coltrane / Giant steps





ジョン・コルトレーン。テナーサックスの超絶技巧奏者として、数々の名演・音源を残しているモダン・ジャズの巨人です。

この人は先程のチャーリー・パーカーなどのやさぐれ者とは違い、相当ストイックな努力家だそうで、この曲も超絶技巧の曲として知られています。

この曲もテーマの16小節の中で10回転調するという、絶対やりたくない(できない)曲です。

説教系話が長い人と対峙する場合、とにかく「耐え忍ぶ」「相手に合わせて淡々と振り回される」事が重要です。

ジョン・コルトレーンがものすごい転調する超絶難曲を持ってきても、淡々と演奏するバックの演奏陣。ここに説教系と対峙する際の見習うべき姿勢が垣間見れます。

「お前は俺の言う事を聞いといたらええんじゃ」という高圧的な態度で来られてもじっと堪えて時を待ちましょう。

いずれ、曲が華麗に転調するように、「まあ、お前も頑張ってるよな。そこは認めてるんやで?」といった感じで事態も好転するはずです。

3.愚痴系話の長い人に捕まった場合



「夫が全然家事してくれない」
「最近彼氏が冷たい」
「職場の上司がクソ」
「お金がない」

など、自分とは直接関係ない、愚痴を一方的に長々と話すタイプの人です。これも多いですね。
私など、おそらくこのタイプかと思われます。ごめんなさい。お酒が入るとついつい気が大きくなりますもんね。

まあしかし、誰だって愚痴の一つや二つ、あるもんです。できれば、親身になって聞いてあげたいところ。

そんな時はこの曲を思い浮かべてはいかがでしょうか。


ART BLAKEY & THE JAZZ MESSENGERS / Moanin'





アート・ブレイキーはドラマーとして「ファンキージャズ」を盛り上げた立役者。1940年代からキャリアをスタートさせます。

最初はピアニストでしたが、脅されてドラマーに無理矢理転向させられたそうです。可哀想なアート・ブレイキー。しかし、めちゃめちゃ一生懸命練習して歴史に名を残すドラマーになりました。凄いぞ、アート・ブレイキー。

「Moanin'」は有名な曲です。マイルス・デイビスもやってますね。この曲ではアート・ブレイキーは2拍4拍にスネアを置くシンプルなバッキングに徹しています。

前に出る事なく他のプレイヤーを立てるアート・ブレイキー。このように、愚痴系に遭遇した時に大切なのはただ「相手を立てる」事です。

「なるほど、それは自分もそう思いますね」
「あー、それは旦那さんが悪いわ」
「わかる~、ないよね、お金」

など、相手の意見に同調して機嫌を伺いましょう。この手のタイプの人は、上手く相槌を打たれると、鯉が滝を登るように増長していきますので、飲み会は地獄のように盛り上がるはず。


最後に


いかがでしたか?

飲み会で話が長くなる事なんて、誰でもついついやってしまいがちな事。そんな時、「あー、はい、そっすね」というような空返事をするのではなく、真剣に聞く事で、飲み会の場がしらけることもなく、お互いの信頼関係がより強固なものになっていくと思います。

皆様もビバップやハードバップのスリリングな演奏をBGMに、聞き手としても場を盛り上げてみてはいかがでしょう。

ではまた次回。
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