明日を生きるヒントに。岩橋3選

悠久の時間の流れを実感するための、演奏時間がめっちゃ長い曲3選

悠久の時間の流れを実感するための、演奏時間がめっちゃ長い曲3選

目まぐるしく毎日を暮らす皆様へ



こんにちは。ご無沙汰しております。
じめじめした季節になってまいりましたが皆様お元気ですか?

先月は、元号が「平成」から「令和」に変わるという、人生の中でも何回も訪れることのない、改元が行われました。

時代は昭和から平成、平成から令和。その間、大きく私たちの暮らしも変わりました。

ポケベルはスマホに。ティラミスやナタデココはタピオカに。ワンカップの日本酒はストロング系のチューハイに。

日々、新しいものが生まれ、古いものが淘汰されていく。そんな私たちの生活。
そんな中にあって、変わらずそこにあるもの。変わらないことで、逆説的に悠久の時間の流れを伝えてくれるもの。

自社仏閣のような建造物や昔ながらの町並み、自然の造形などを見ていると、なんだか心が洗われるような気がしてきますね。

そういうものに触れたとき、私たちはふと立ち止まって、自分たちの人生の時間を振り返ることができるからなのでははないでしょうか。
そこで、今回は「演奏開始から、演奏終了までがめちゃくちゃ長い曲」を3曲ピックアップしました。

日々忙しく流行や目先の忙しさに追われがちな私たちだからこそ、時間を優雅に贅沢に使うこともまた必要なのだと思います。
ご査収ください。


1,The Flaming Lips - I Found a Star on the Ground (2011年)



Flaming Lipsは日本でも人気のあるアメリカのロックバンドです。ライブとなれば、巨大な風船が客席に落ちてきたり、着ぐるみを着たダンサーがステージで踊ったりと、エンターテイメント要素も大きく「Do You Realize??」や「Race for the prize」など、お馴染みのキラーチューンもたくさんあって、観るのも聴くのも楽しいバンドです。

しかし、初期から一環して、実験的な試みを忘れない姿もFlaming Lipsの本質のひとつ。その中でも異彩を放っている曲、「I found a star on the Ground」は演奏時間が6時間というやっかいな曲です。大体コンビニとかのバイトの1シフト分くらいですね。この曲が終わる頃には退勤、といった感じです。






まず、Youtubeに6時間の尺のファイルをアップロードできることにビックリしました。すごいね。

「Strobo Trip」というアルバムに収録されています。4分の曲と6分の曲と6時間の曲の3曲入り。なんというバランス。Flaming Lipsのホームページで販売されたところあっという間に売り切れたようです。

あくなき探究心を持ち続けて、30年以上活動しているThe Flaming Lips。周囲に流されるのではなく、自分たちが本当にやりたいことは何なのか、ということを、この曲を通して、6時間かけて教えてくれます。長いね。


2.Erik Satie - Vexations (1895年頃)



エリック・サティはフランスの作曲家。「ジムノペディ」などのピアノ曲が有名なイメージだったんですが、この方も実験的な創作や、調性崩壊などで知られ、後の印象派や、ジョン・ケージやスティーブ・ライヒなどの現代音楽やミニマルミュージックにも影響を与えています。





この1分半ほどの、52拍の曲を840回繰り返すので、演奏時間は大体18時間になります。バ、いや、崇高だな~。演奏は10人~20人が1時間ほどで交代して演奏するそうです。演奏自体がシフト制なんですね。

初演はウィキペディアによると1963年のニューヨークにて、ジョン・ケージらによるもので、10人のピアニストと2人の助っ人によって演奏されたそうです。

助っ人って何…?バイトなの?

ちなみにこの曲はテンポ指定がないので、場合によっては25時間ほどかかることもあるそうです。その場合、残業代などは発生しませんので注意が必要です。



3.Jem Finer - Longplayer (1895年頃)



最後にご紹介するのが、ポーグスのジェム・ファイナーが作曲した「ロングプレイヤー」という曲です。





という、20分ほどの曲が、あらかじめプログラムされたアルゴリズムの処理に基づいて、無限のバリエーションをもって展開されていく曲です。演奏が開始されたのが2000年1月1日。終了予定は2999年12月31日。演奏時間は1000年です。西暦3000年になった瞬間、曲は最初に戻ってまた1000年かけて最初から演奏されるようにプログラムされているようです。

はあ、そうですか。と思いますか?私は思います。

様々な流行・文化が生まれ、廃れ、また生まれ、人々が死に、また生まれ、死に、膨大な時間が流れても尚この曲は演奏され続けているのです。私たちは残念ながら曲の終わりまで聴くことはできないでしょう。(8回くらい輪廻転生したら9回目くらいで聴けるかもしれませんが)

このブログの更新は2週間に1回の約束でしたが、前回の更新から1ヶ月経ってしまいました。しかし、1000年という月日から見ればそんな事は瑣末な問題に過ぎないのである、ということをこの曲は教えてくれます。

ちなみに、「Longplayer」は世界の何箇所かで演奏を聴くことができるそうです。詳しくは下記URLをご参照ください。

https://longplayer.org/visit/

それにしても、なんでポーグスの人がこんな曲を作ったんでしょうか…?どうもイメージが結びつかないですね。


最後に

いかがでしたでしょうか。令和という新しい時代の区切りが始まりましたが、相変わらず様々なことが起こり、忘れ去られていきます。そんな中で日々忙しく暮らしているとふと忘れがちなことを、演奏時間がめちゃくちゃ長いこれらの曲たちは、また違う観点から、私たちが普段忘れがちな大切なことを教えてくれるかもしれません。

何も教えてくれないかもしれません。

ではまた次回。(1000年以内に更新します)
TOP