明日を生きるヒントに。岩橋3選

コンビニに全裸のおばさんが入店してきた時に聴きたいキャット・パワーの名曲3選

コンビニに全裸のおばさんが入店してきた時に聴きたいキャット・パワーの名曲3選
唐突で恐縮なのですが、皆さまはコンビニエンスストアで全裸のおばさんと遭遇した事はありますか?

私は一度だけあります。小学校6年生の夏休みの事でした。
小学校6年生の頃、私の通う小学校では釣りが流行っていました。海が近い事もあり、夏休みは毎日のように朝早くに友人と集合して釣りに行っていました。

その日も7~8人の友人と一緒に釣りに行くため、朝5時に駅前のコンビニエンスストアで待ち合わせをしていました。

全員集合するまでの時間、ジャンプを立ち読みしたり、朝ご飯のパンを買ったり、お菓子を買って店の前で食べたりしながら思い思いに過ごしていた時、突然おばさんが全裸で入店してきました。しかも、ものすごく怒っていたのです。
おばさんは怒りに震えながら独り言をぶつぶつと放ち、スナック菓子の袋を手に取り「パーン」と音を立てて開け、食べながら店内を巡回していました。
凍り付く朝勤のコンビニ店員、お客の男性、そして小学生たち。

「なんで怒ってるの…?」
「いや、その前に何故全裸なの……?」

こういう場合どうすれば良いのか、答えを探るように大人たちに目で訴えかけるものの、大人たちも自分たちが取るべき行動を見つけられずただ茫然としていました。やがて、おばさんは当時コンビニでよく見たこれで、唐突に頭を洗い始めたのです。
↑当時コンビニでよく見たアレ。

私は死ぬまで、緑の液体を滴らせるおばさんの光景を忘れることはないでしょう。
そして、遅れてやってきた警察に連れていかれるおばさんの
「私は猫じゃないよ!猫じゃないんだよ!!」
という絶叫が耳から離れることはないでしょう。

余りにも無力だった私たち。
「そうだよ、おばさん!おばさんは猫じゃないんだよ!服着ろよ!」と、大人になった今ならおばさんに声をかけてあげられるでしょうか。
もっと勇気と力が当時の私たちにあったなら。
そこで、今回はコンビニに全裸のおばさんがやってきた時に聴きたいキャット・パワーの名曲を3曲選んでみました。
もしもの時の為に、ご査収ください。

そもそもキャット・パワーとは


キャット・パワーとは、アメリカ合衆国の女性シンガーソングライターです。
「キャット・パワー」とは芸名であり、本名はショーン・マーシャルさんです。ギターを主体としたアコースティックながらオルタナティブな音楽性が特徴のミュージシャン。
その音楽性はしばしば「サッド・コア」の代表格として語られることもあるようです。削ぎ落された音像と、パーソナルな歌詞世界。
フォロワーも多く、多くのバンド、ミュージシャンに影響を与えた人物です。

Ice water / アルバム「Myra Lee」(1996年)収録






【歌詞:一部抜粋】
”I am so, angry
I am so, at ease
I feel just like
Some great big disease
I think you need
Ice water
"
【日本語訳】
”私はとても怒っている
私はとても落ち着いている
私はなんだか、大きな病気にかかってしまった気がする
あなたにはきっと
冷たい水が必要”

いかがでしょうか。静謐な、内省的でありながら示唆的な雰囲気を漂わせる歌詞世界。
決して「水でも飲んで落ち着けよ」という歌ではありません。
この曲を聴く事で、あのおばさんが抱えて来た壮絶な闇の深淵に迫れるような気がしてきます。
迫ってしまったら大変ですが。


Living proof / アルバム「The Greatest」(2006年)収録






「Living proof」はきっちり日本語訳するのが難しいそうで「存在証明」「良いお手本」「生き証人」など、文脈によって変化するようです。

しかし、あのコンビニから命からがら生きながらえた当時の8人の小学生はまさに惨劇からの生き証人と言えるでしょう。

”Do you have your answer?
Do you have living proof?”

「あなたは、あなた自身の答を持っていますか?」
「あなたは存在を証明するものを持っていますか?」

「あたしゃー猫じゃないんだよ!!」という叫びこそ、あのおばちゃんのliving proofだったのかもしれません。

free / アルバム「You are free」(2003年)収録







フー・ファイーターズやニルヴァーナでお馴染み、デイヴ・グロールやパールジャムのエディー・ヴェダーなど、錚々たるメンツが参加した出世作。私もこのアルバムから入りました。
高らかに自由を歌うこの曲。あの時、あの場所で、あのおばちゃんは完全に自由でした。

”Everybody come together 
Free
Everybody get together 
Free”

確かに皆、集まってきました。警察も来ました。
それでもあの時、あの場所でおばちゃんは完全に自由だったのです。
トリッキーなリズムと共に、あのおばちゃんの自由について教えてくれる。
「Free」はそんな歌なのかもしれません。

最後に


いかがでしたか。キャット・パワーについて少しは興味を持っていただけましたでしょうか。

こういった危機的状況に限らず、いつ聴いても素晴らしいミュージシャンですので、是非一度聴いてみてください。
全裸のおばちゃんと遭遇するようなことがあれば、まずは速やかに警察に連絡をするようにしましょう。
それではまた次回。
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